福岡県福岡市の路上で迷子の女の子を助けた小学5年生の少年が、警察から感謝状を贈られた。この時、男の子が言った「通りかかった大人は何もしなかったので、僕が何とかしなくてはと思った」という言葉が世の中に一石を投じるものとして話題になっている。インターネット上で、知らない子どもに声をかけるリスクについて議論が巻き起こっているのだ。
この少年のお手柄が報じられると、SNSでは「冤罪でも女児誘拐のレッテルを貼られてしまえば人生が終わる」「警察を呼んで揉めているところを動画に撮られて拡散されたら怖い」と、不審者と間違えられ、警察沙汰になるリスクに対する不安の声が相次いだ。
グズる息子を車に乗せたら誘拐犯と間違われた父親も
街で聞いてみても、同じ状況下で「声を掛けない」という大人が多数だった。「自分の身の安全という意味で怖い」(30代男性)、「いたずらしているんじゃないかと第三者から疑われるのが不安」(50代男性)、「気持ちとしては助けにいきたいけど無理。今は、女性だからといって大丈夫だと言えない」(40代女性)など。
実際に、誘拐犯と勘違いされて騒動に巻き込まれた男性(40)もいる。公園から「帰りたくない」とグズって泣いている自分の息子を車に乗せて家に帰ったところ、周囲の人に通報され、警察への出頭を命じられた。息子と一緒に写った写真や住民票などを見せ、ようやく疑いが晴れたという。
キャスターの立川志らく「声を掛けるのが人として当たり前なんだけど、泣いている自分の子どもを車に乗せただけで通報される。世知辛い世の中です。でも通報する人を悪とは言えない」
西村博之(2ちゃんねる開設者)「リスクのない声の掛け方をみんな知らないだけ。名前を聞いて、『〇〇君のお母さん、いませんかー!』って大きな声で言えば、周りも迷子だと分かる。その認識の上で、お母さんが現れなかったら110番すればいい。110番すれば履歴が残って全部録音されますから、警察沙汰になったときのリスクをなくせる。そのやり方でみんなで助ければいいだけのこと」
弁護士の髙橋知典は、迷子を助ける時の4つの対処法を伝授。「場所を移動せず110番し、警察が来るまで待つ」「周りの大人に協力を求めて声掛けをする」「自分の姿が防犯カメラに映るようにする」「デパートなどの施設内では店員に知らせる」。これで自分の身を守りながら、迷子を救うことができる。