三浦春馬さんに竹内結子さん、芦名星さん――。人気俳優らの自死が相次ぐ中、「仕事が原因で死にたいと思ったことがある」と回答した芸能人が3割にものぼる調査結果が明らかになった。日本俳優連合(西田敏行理事長、会員約2600人)が11月1日(2020年)、「フリーランス芸能従事者の安全衛生に関するアンケート」の中間集計結果を発表した。
調査は、俳優・声優・音楽家・舞踊家・演芸家・監督・演出・撮影スタッフなど、フリーランスの芸能従事者の地位向上のために連続して行っており、今回は自殺の引き金になりかねない、仕事中のストレスの原因となりやすい仕事中のトイレ、着替え、食事、睡眠の驚くべきひどさに迫った。
「公演会場に更衣室がなく、一般客が出入りする廊下で着替えた」
調査は9月18日から11月1日までネット上を実施、俳優ら178人の回答をまとめた。ひどいのは「仕事場に更衣室がない人」が1割(10%)もいたことだ。その場合どこで着替えたか聞くと、「トイレ」「屋外」「簡単な仕切りの奥で」などで、こんな怒りの声が殺到した。
「ロケバスの中のカーテンの仕切りだけで着替えるのが恥ずかしかった。しかも外は都会の真ん中なのに」「太った私はロケバスの中は窮屈だった」「(ミュージシャンの場合)まず、劇場や市民会館はそもそも更衣室がないに等しい。仕方なく廊下で着替えるが、一般の人が出入りするので着替えにくい」「外の一般客用の仮設トイレで着替えた」「更衣室があっても男女の区別がない。私は男性だからまだよいが、女性はプライベートが保てないまま、着替えをしなければいけない状態が常態化している」
「女性の私は、トイレを我慢したため5回も膀胱炎になった」
トイレで困ることも日常茶飯事で、「仕事の現場に専用のトイレがないこともあった」人が57%もいた。その場合どうしたか聞くと――。
「男女共通トイレだと、生理用品を捨てる場所がないことがあった」「スキー場での撮影で、現場からトイレまで徒歩20分かかるため我慢した」「女性なので、男性のように簡単には出来ない。ロケハン等に参加することが多いので、山など人里から離れたところに行く際は出来るだけ水分は取らず、トイレに行かなくて済むように努めている。そのため膀胱炎、頻尿になりやすい」「(女性の私は)トイレを我慢したため5回も膀胱炎になった」「外での撮影などでは、トイレ休憩を考慮されてないことが珍しくない」「移動中の車の中で何度も危険を感じた。渋滞してなかなか進めない時、他の出演者は我慢が出来ず、林の中に入って用を足した。女性の私は車内で脱糞してしまった」
「野菜不足の肉肉しいロケ弁が多く、いつもお腹を壊します」
仕事の現場での食事も「いつも不規則だ」と96%の人が答えている。いわゆる「ロケ弁」を食べることが多いが、冷たいうえ、高カロリーで不健康だと訴える人が多い。
「移動車中での食事が大変多く、やめてほしいです」「暖かい御飯が食べたい」「出演者には食べてから現場に入って下さいと言うところが多い。結果的に長時間待たされて、何の為の食べてきて下さいだったのかわからない」「肉肉しいお弁当が多く、いつもお腹を壊します」「チーズと米だけのお弁当は勘弁して欲しい」「野菜が不足。ハイカロリーで繊維やビタミンが不足。唐揚げ等、油揚げが頻繫に多い、栄養管理システムがなっていない」「そもそも拘束時間が長いうえ、食事も決まった時間にとれず体調をくずす人が多い。ロケ弁もあんな無造作に置かれていたら、食中毒にならないほうが珍しい」
仕事中に「寝不足になって困った」人が94%もいた。仕事中の睡眠時間を聞くと、「平均3時間~6時間」という人が64%と、最も多かった。徹夜で仕事をしたことがある人も85%おり、寝不足が原因で自分自身や仲間が事故やケガをした人が90%もいた。また、自分自身や仲間が「仕事中にハラスメントを受けた」と答えた人が74%もいた。これらいろいろなストレスによって「仕事が原因で死にたい」と思ったことがある人が29%もいたのだった。
こうした芸能人の過酷な仕事中のストレスの積み重ねも、不幸な事件を招く一因といえるのではないか。(テレビウォッチ編集部)