連続ドラマは、テレビ局の編成上極めて重要な意味を持っています。視聴率も良く、世の中の評判になる作品を提供しているテレビ局は、イメージアップにつながり、営業的面でも効果が大きいのです。
10月期の連続ドラマで、脚本、キャスティング共に見どころがあるのが、TBSの「危険なビーナス」(10月11日スタート、日曜午後9時)。
主演は、妻夫木聡と吉高由里子で、正義感が強く、美女に弱い獣医師(妻夫木聡)が、異父弟(染谷将太)の失踪をきっかけに、染谷の妻(吉高由里子)を名乗る女性に翻弄されながらも、名家・八神家の遺産を巡る謎に挑んでいくさまを、描いたものです。
東野圭吾の原作を黒岩勉が脚本化―プロデューサーとのタッグも成功している
母の再婚で八神家に入った妻夫木には、辛い思い出しかなく、もう八神家とは、関わらないと決めていたのですが、失踪した夫(染谷)を捜す吉高に頼まれ、一緒に八神家に向かいます。そこには、昔から妻夫木を見下ろしている、当主の養子(ディーン・フジオカ)をはじめとした、一族の面々が顔をそろえていました。
妻夫木と吉高が調べを進めていくと、一族の不穏な動きが次々に浮かび上がってきます。妻夫木は吉高と行動を共にするうちに、彼女の捉えどころのない不思議な魅力に惹かれていくのです。
妻夫木は美女に弱いが、真面目な探求心で謎を探るところに共感を持てます。吉高はキュートで少しミステリアス。強引に義兄の妻夫木をリードしていくのですが、夫と"称する"染谷将太のことを愛していると思えるところが素晴らしい。本当に染谷は吉高と結婚したのか、染谷はどこにいるのか、八神家の遺産の行方は?......。結末が、楽しみな作品です。
このドラマは東野圭吾の原作で、脚本はミステリー作品を手がけることの多い黒岩勉です。脚本家はプロデューサーと向き合いながら、脚本を詰めていく重要な役割を持っています。脚本は、収録が始まる前に全てできている場合と、部分的にしかできていない場合があります。この作品が、どちらのケースかわかりませんが、脚本の出来は良いと思います。