1951(昭和26)年。古山裕一(窪田正孝)は、ラジオドラマやレコードの仕事で多忙な日々を送っていた。一方、幼馴染の作詞家・村野鉄男(中村蒼)は、映画の主題歌の作詞を依頼されるが断ってしまう。貧しく、すさんだ家庭に育った鉄男は、「家族の絆」がテーマの作詞をする自信がなかったのだ。
そんな2人が、母校の福島信夫小学校の校歌を作詞作曲し、完成お披露目会に出席するために福島に帰郷した。
鉄男は裕一に、29年前の話を始めた。一家4人で夜逃げをした後、弟の典男は家出し、自分も母に「自分の道、歩いでげ」と、背中を押されて家を出たという。以来、鉄男は弟を守り切れず、母を捨てた自分を責めて続けてきたのだ。
お披露目会の翌日、藤堂清晴先生(森山直太朗)の墓参りから2人が喜多一に戻ってくると、見知らぬ男が待っていた。鉄男の弟・典男だった。息子が小学校から持ち帰ってきた校歌の譜面を見て、兄が作詞家であることに気付いたという。
再開した兄弟にはまた絆が戻った。孤独の中生きてきた鉄男は家族を取り戻し、東京へ戻る。そして数年後には、大ヒット曲『東京だョおっ母さん』を作詞することになる。
裕一の弟・浩二はリンゴ農園の1人娘に思いを寄せる
さて、裕一は、弟の浩二(佐久本宝)を通じて農業会から頼まれた『高原列車は行く』の作曲をするために喜多一に残っていた。そこに音(二階堂ふみ)もやってきた。看護学校に通い始め、忙しい娘の華(古川琴音)は東京で留守番だ。
浩二は、自分が農業指導している「畠山リンゴ園」の1人娘・まき子に恋をしているようだ。しかし、まき子は戦死した恋人を引きずっていた。しかももうすぐ東京の親戚の会社に働きに行くことが決まってしまった。だというのに、浩二はなかなか本心を伝えられない。それどころか見当違いな優しさを見せ、まき子を怒らせてしまう。悩む浩二に音は「自分の気持ちと向き合って」と声をかけ、その背中を押す。
浩二はやっと「忘れられない人がいてもいいから、自分のそばにいてほしい」とまき子に伝えることができた。数か月後には結婚式が行われ、浩二は畠山家に婿入りした。リンゴ園では、大ヒットした『高原列車は行く』が流れる中、仲良く作業する2人の夫婦があった。(NHK総合あさ8時)