トランプ大統領VSバイデン候補の前代未聞の泥仕合と化した米大統領選挙。4日~5日のワイドショーはこの話題であふれた。番組のMCやコメンテータたちは何を語っただろうか。
フジテレビ「バイキングMORE」の坂上忍は、徹底した「バイデンびいき」を隠さなかった。開票が始まった4日、バイデン氏勝利の速報が入ってくるたびに「よしっ!」「おっ、よし!よし!」などとドヤ顔で叫びガッツポーズ。進行の伊藤利尋アナウンサーが「おそらく、いまアメリカ国内もこんな感じだと思います。テレビ見ながら有権者はこんな空気なのかなと思います」とフォローしたが、ネットでは「露骨すぎる」と批判を浴びた。
坂上忍、露骨すぎるバイデンびいき「よし!よし!」とガッツポーズ
5日、大勢がバイデン候補有利に傾き、トランプ氏が郵便投票の集計打ち切り求めて最高裁に訴える動きを始めてと、こう皮肉った。「僕らの感覚で言うと、もうちょっと往生際が良くてもいいのかなっていう気がしちゃう。勝ったも同然って、意味がよくわからない。法廷に持ち込めば勝つ、ということなんですか?うーん」
フジテレビ「とくダネ」では、逆に、前日のトランプ大躍進を唯一「予言」しており、ネットで「神か」とまで称賛されたジャーナリスト木村太郎氏がトランプ氏の劣勢に意気消沈、こうぼやいた。「バイデンはあと少しで選挙人が過半数の270人に届く。昼から酒を飲まなきゃいけないな」
バイデン当選を予想していたデーブ・スペクター(テレビプロデューサー)は明るく語った。「バイデン支持者は早めに郵便投票しただろうから、時間がたつと有利なことは見えている。トランプ陣営はずっと前から訴える作戦だった。潔い人ではないから、素直に負けたと言うわけがない」
MCの小倉智昭はトランプ、バイデン両氏の"勝利宣言"に「まだ開票中なわけでしょ。待ってりゃいいじゃねえのって思うよ」
立川志らく「郵便投票に疑問を呈するトランプの気持ちがわかる」
トランプ氏の「訴訟合戦についても賛否両論があった。TBS「ひるおび!」で、前嶋和弘・上智大学教授がこう解説した。「バイデン氏が王手。ネバダ州の6で決まる。やはり郵便投票があるから分かりにくい。そもそも郵便投票は4、5月にコロナだから何とかしないと全州で動いて突貫工事でやった。だからこれだけ面倒くさいのです」
TBS「グッとラック」では、MCの立川志らくが「郵便投票には興味がある。疑問を呈するトランプの気持ちがわかるよ」と共感を寄せると、元大阪府知事で弁護士の橋下徹もこう問題点を指摘した。
「郵便投票の開票は一定期間内に終わらせることが重要。ほとんどの州が期間内に終わるようにやっているのに、遅れているところは準備できずにズルズルやっている。僕はネット投票にも賛成だが、それは本人確認が大前提。郵便投票もそれは同じで、今回郵便投票の署名をどうすれば確認できるのか。わかりやすさでいえば、投票所に行って投票することです」
これに対し、フリーアナの小林麻耶が「コロナ禍で郵便投票になるのは仕方ない」と反論すると、橋下は「郵便投票は仕方ないと思うが、不正がないようなルールを設けてほしいというのが、当事者としての言い分です」とトランプ氏を擁護した。
テレ朝記者「訴訟なんて、証拠がないから司法当局者は受け付けない」
トランプ氏の訴訟作戦は功を奏すのか。テレビ朝日「羽鳥モーニングショー」で、テレビ朝日の前ワシントン支局長の山下達也記者が「トランプ側の言い分は通りそうもない」としてこう解説した。「投票に不正があったという主張にも、具体的な証拠があるわけでなく、司法当局者は受け付けないだろうというのが米メディアの見方ですね。トランプ氏はドイツの銀行などから多額の借金を抱えていて、大統領にとどまることは、破産を回避する意味でも重要なのです。大統領でなくなればそれもできなくなります」
国際教養大大学院の小西克哉・客員教授もこう解説する。「大統領の特権で訴追できず、司法当局があきらめてきた脱税などが10件以上あると見られています。大統領でなくなったら、つらいことになりますね。遊説中に冗談めかして、『自分が負けたらこの国を去ることになるかも』と話していましたが、(亡命なんて)ないと思いますが」
これに応じて玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)がこう笑った。「受け入れてくれる国があるかなあ。北朝鮮ぐらいかねえ」
それにしてもなぜこんなにややこしい選挙制度なのか。日本テレビ「スッキリ」で、在日米国人のモーリー・ロバートソン(国際ジャーナリスト)がこう説明した。「選挙人制度のねじれが限界まで来ています。普通にみんなが投票したものを合算すればいいはずなのに、日本でいえば徳川時代にできた制度をずっと温存していることが問題です」(テレビウォッチ編集部)