古山音(二階堂ふみ)は舞台を降板してからというもの、音楽に対する熱意をすっかり失ってしまい、レッスンすら受けられなくなっていた。裕一(窪田正孝)はそんな妻をなんとか元気づけたいと考えていた。
半月ほどたったある日、裕一は音を教会に誘う。以前、娘の華(古川琴音)と訪れた、孤児院を併設する教会だ。裕一は音には内緒で、そこでクリスマスの慈善音楽会を開く準備をしてきたのだ。これまでは生き抜くことで精いっぱいだった子どもたちに、世の中には楽しい文化あるということを伝えたい、とも願っていた。
裕一「この教会で、もう一度歌ってくれないか。僕は音の歌が聴きたい。子どもたちにも聴かせてあげたい」
裕一は音に楽譜を手渡した。音が歌うために村野鉄男(中村蒼)が作詞をし、裕一が曲を書いたものだ。
歌い終わった音「本当にやりたいこと、今日はっきりわかった」
慈善音楽会の当日。子どもたちの合唱、ハーモニカ演奏、そして佐藤久志(山崎育三郎)と藤丸(井上希美)のデュエットと、会は楽しく進行していった。
裕一「最後に歌うのは、私の妻・古山音です。僕が音楽を続けてこられたのは彼女のおかげです。掛けがえのない、僕の恩人です」
歌い終わった音は、拍手に包まれ、晴れ晴れとした表情を見せた。
演奏会後、片付けをしていた音と華は久しぶりに笑顔で語り合った。
音「お母さんね、本当にやりたいことが今日はっきり分かった」
華「私も何か見つかるかな」
音「大丈夫。いつか見つかったら、全力で応援する」
裕一はそんな2人の様子をこっそり見ながら、目を潤ませていた。(NHK総合あさ8時)