「まるで満員状態です」と司会の小倉智昭もあきれたように語る。島根県出雲市の8畳2間の平屋住宅にイヌ164匹と家族3人で暮らしているという。ペットが過剰に繁殖し飼育不能に陥る多頭飼育崩壊の現場を報告した。
中に入ると、足の踏み場もない。キャン、キャンと鳴き、相手に近づくものもいる。キッチンの流しの上、コンロの上、テレビ台の上、棚の中、縁の下、ベッドの上にも寝そべっているものもいる。とにかく、イヌがぎっしり。
先月19日(2020年10月)、この部屋に入ったという「(公財)どうぶつ基金」の佐上邦久理事長が話す。
「本当に地面も床も満員状態です。あの2間にイヌと人間が同居している状態です。ここで食事をし、炊事をし、洗濯をし、テレビも見て、寝ているという生活。ですから、そこから仕事に通勤されています。私が行ったときは炊飯器が保温中になっていましたので、中にはご飯が入っていたわけですね」
最初はメスの野良1匹、30~40年でこんなに増えた
なぜ、ここまで増えたのか。この家は高齢夫婦と娘の3人暮らし。イヌを飼い始めたのは30年~40年前。野良犬のメス1匹を保護して、そこから子どもを産んで、初めは数匹だったが、不妊手術などはしなかったので、だんだん増えていったという。それにしても164匹。
数年前から市役所や保健所には近隣住人らによる泣き声や臭いという苦情が寄せられており、その都度、飼い主に改善を求めたという。
今回の問題について島根県の丸山達也知事は「餌というか食事はきちんと与えられている。ふん尿の処理もまあ、されている。ただ、場所が狭いのと頭数が多いというのが著しく環境としてよくないということで、それの改善を県外のボランティアの皆さんの多大な尽力を頂いて改善していこうという形で取り組んでもらっています」と語る。
(公)どうぶつ基金によると、飼い主はすべてのイヌに不妊と去勢の手術を行うことに同意し、今後引き取り手も探していくという。
小倉「飼っている方にとってはイヌについての愛情だとおっしゃるかもしれませんが、われわれ愛犬家から見ると虐待しか見えないんです」