退院後は医療費自己負担、休職や退職も...経済的な不安は深刻だ
後遺症が患者に及ぼす経済不安も深刻化している。
2カ月前に退院した50代の会社員は、今も酸素吸入器を手放せない。感染が確認された4月から休職している。いつ仕事に復帰できるのか。医療費も重くのしかかる。指定感染症は入院費が公費負担だが、入院までと退院後は自己負担が発生する。生活を支えているのは給料の3分の2を補償される「傷病手当金」だ。受けられるのはあと1年余り。大学生の娘は退学も検討した。
国は傷病手当金の支給を国民健康保険の対象者にも拡大したが、支援がなお届かない人もいる。フリーカメラマンのAさんは、7月に広告会社と業務委託契約した直後に感染がわかった。退院した後も、倦怠感や指が震える症状に悩んでいる。入院中に契約を打ち切られたが、被用者でなかったため傷病手当金は受けられなかった。別の仕事を探すことも考えているが、指の震えが治る見通しが立たないうちは、就職活動に踏み切ることができない。
深刻化する生活不安にどう対応するのか。三原・研究員は「働き方の多様化に合わせて、そういった支援も広げる必要があったが、そうなっていないことが一気に顕在化した。一部制度が改正されて部分的な手当は広がったが、なお給付が少ない実態がある」という。
未知のウイルス!その後遺症に対する、医療や社会保障の制度対応を急がなくてはならない。
栄
※NHKクローズアップ現代+(2020年10月27日放送「後遺症が苦しい...新型コロナ "治療後"の悩み」)