私は長くテレビ業界に身を置いていたので、アシスタントディレクター(略語AD)、ディレクター(同D)、プロデューサー(同P)の仕事を経験しました。
「PとDとADは何が違うのか」、今回はこのことをみなさんにお伝えしたいと思います。
テレビ番組には、いろいろな成立過程から、さまざまな役割を持つ人たちがいますが、ここでは一般的な分類で説明します。
PとDって何のこと?
まず、PとはProducer(プロデューサー)の略語で、いろいろな役割がありますが、簡単にいうと、企画を立てて、予算を考え、スケジュールを組み、キャスティングをし、PRと、コンプライアンスを担当します。
DはDirector(ディレクター)の略語で、Pとの決定的違いは、映像を撮って編集することです。Dにもいろいろあって、総合演出というのは、大きな番組を総合的に演出する役割で、映像を撮らないで、後からチェックします。企画も総合演出やDが作る場合もありますし、Pと総合演出とDが共同で作ることもあります。キャスティングも、総合演出やDの意見を聞いて、Pが行うこともあります。
ADとは、Assistant Director(アシスタントディレクター)の略語で、Dの補助をする役割ですが、ドラマでは、ADの上の方の人は助監督とも呼ばれます。また、スタジオ等での本番のときには、インカム(インターコミュニケーション)――スタジオのサブコン(サブ・コントロールルーム)にいるDと有線でつながっているもの――をつけて、FM(Floor manager)"フロマネ"(フロアーディレクターのこと)とか、FA(Floor Assistant)"フロアシ"(フロアーアシスタント)という名称で、Dの意図するところをスタジオ等で実現します。
私は、冒頭で申し上げたように、ADもDもPも経験していますが、人によってP向きの人とD向きの人がいます。
いずれにしても、ADとDを経験することが大事だと思います。