三味線業界存続へ、愛好家たちがSNSを通じて多額寄付の例も
会社が築いてきたノウハウを残すため、異例の決断をした経営者がいる。太宰府天満宮をはじめ、約300の神社仏閣の設計、改修に携わってきた神社仏閣建築会社「林建装」(福岡・大野城市)だ。会長の林浩司は、会社のDNAともいうべき知識や経験を次の世代に継承するため、この夏あえてM&Aで会社を売却した。経営基盤を強化するため、地元解体会社の傘下に入り、念願だった新人を採用。林会長は人材の育成に集中できるようになった。新規に採用した未経験者を5~10年かけて一人前に育てたいと考えているという。
廃業の危機に追い込まれていた「東京和楽器」にも転機が訪れた。存続を願う三味線の愛好家たちから手紙や支援金が続々と寄せられた。支援の動きはSNSを通じて広がっている。きっかけを作ったのは、8人組の音楽グループ「和楽器バンド」。ライブ会場やインターネット上で募金を呼びかけると、総額805万円の寄付が集まったのだ。ギターなどの洋楽器を販売する「池部楽器店」からは、三味線にも若いユーザーを獲得するチャンスがあるとネットでの販売を持ちかけられている。東京和楽器の大瀧勝弘代表は「続けられるよう、頑張ります」と力強く語った。
「和える」の矢島代表は「金銭的支えはもちろんですが、精神的な支えは大きな力になる。応援の思いを伝えることが、100年企業の原動力になる」と話した。
バルバス
※NHKクローズアップ現代+(2020年10月20日放送「100年企業 起死回生の一手は? ~コロナ禍 大量廃業時代~」)