1年半が過ぎた。古山裕一(窪田正孝)は、まだ戦場で見た光景の影響で曲が書けないでいた。
NHKでは、職員の重森正(板垣瑞生)が、劇作家の池田二郎(北村有起哉)のラジオドラマの放送が決まったことを、池田に知らせた。
重森「歴史に残る作品にしましょう」
池田「ならば、あいつが絶対必要だ」
音は「鐘の鳴る丘」の脚本を読み涙ぐんだ
池田は、再び裕一を訪ね、ラジオドラマ「鐘の鳴る丘」の音楽を依頼した。戦争の悲劇からの復活を真っ向から描くこのドラマの主題歌を書けるのは、裕一しかいないと熱く裕一を説得した。
裕一は、戦争中に自分がしたことに責任があるといって断ろうとする。
裕一「すみません。もう、音楽が思い浮かばないんです」
池田「苦しんでいる子供たちを励まして欲しい」
池田は、自分が書いた主題歌の歌詞を置いていった。音が「鐘の鳴る丘」の脚本を読んで涙ぐんだ。ついに裕一は言った。
裕一「苦しいかもしれないけど、やってみるよ。この歌詞を見て一瞬だけメロディーが降ってきた」
そして、裕一は書斎にこもって戦争の恐怖と闘いながら五線譜に向きあった。幾日か過ぎた朝、音が突っ伏している裕一を起こそうとしたとき、裕一の曲が完成していることに気づく。
1947年(昭和22年)7月、ラジオドラマ「鐘の鳴る丘」の放送がスタート。戦争で傷ついた人たちの心を勇気づけ大ヒットを記録した。
(NHK総合あさ8時放送)