終戦から3か月。古山裕一(窪田正孝)は、戦場の悲惨な光景が忘れられず、いまだ曲を作ることができずにいた。
ある日、劇作家の池田二郎(北村有起哉)が、古山家を訪れる。自分が書いたラジオドラマが、NHKで放送されることになったため、番組の音楽を裕一に担当してもらえないかとお願いしにきたのだ。娘・古山華(根本真陽)はいい話だと裕一に受けるよう促すが、裕一の心は動かない。
裕一「音楽は、もういい」
華「弘哉くん、今のお父さんの姿みたくないと思う。悲しむよ。弘哉くんもお父さんの曲を楽しみにしてると思う」
音が自宅で開いていた音楽教室の生徒・弘哉(山時聡真)も戦争で亡くなったのだ。華の言葉に裕一の心は少し動く。しかし、五線譜に向かうと恐ろしい戦場の景色がよみがえり、五線譜を投げ捨ててしまう。
五郎は、野球のグローブをはめて岩城の見舞いに...
妻・音(二階堂ふみ)はそんな裕一のことを心配しつつ、入院している実家の馬具職人である岩城(吉原光夫)の様子を見に豊橋に行く。
岩城は生死をさまよっていた。そこに、岩城が仕事を教えこんだ馬具職人の田ノ上五郎(岡部大)と妻・田ノ上梅(森七菜)がやってくる。
五郎は手に、野球のグローブをはめていた。音の母・関内光子(薬師丸ひろ子)が馬具の仕事に見切りをつけたため、代わりに何かできないかと考えた五郎が革を使った野球のグローブを思いついたのだ。
光子「岩城さん聞こえる?五郎ちゃんが新しい商売を考えてくれましたよ」
岩城の表情がかすかに笑う。その後、岩城は天国へと旅立つ。(NHK総合あさ8時放送)