NHK連続テレビ小説「エール」は14日(2020年10月)、森山直太朗演じる主人公・古山裕一(窪田正孝)の恩師・藤堂先生が戦死する衝撃シーンが放送された。ビルマ(現ミャンマー)に音楽慰問した裕一と6年ぶりの再会を果たしたものの、狙撃兵の銃弾を浴び、教え子の胸の中で息を引き取ったのだ。
ネット上には「藤堂先生ロス」が広がった。シビアな展開と生々しい戦場描写に「朝から号泣です」「朝ドラ史上、最もリアルに戦争の残酷さを描いた」などと称賛の声が相次いだ。一方で、森山直太朗や窪田正孝らの現代風の長髪姿に「当時の日本軍ではあり得ない。きちんと戦争を描くべきだ」「戦場でコンサートなど敵に居場所を知らせるようなもの」などと違和感を覚えた人も多かった。
「裕一の甘っちょろい音楽観を一瞬で打ち砕く名シーン」
物語は、ビルマを慰問に訪れた裕一は藤堂先生と再会を果たす。そして音楽会を企画する。コンサート本番前。最後の練習を始めようとした時、駐屯地が狙撃兵に襲撃され、一瞬にして修羅場と化した。藤堂先生は腹部に被弾。「最後に、おまえに会えてよかった...」と裕一に抱かれながら息絶える。
ネット上ではこんな悲しみの声であふれた。
「戦場の悲惨さに遭遇し、『ごめんなさい何も知りませんでした』と叫ぶ裕一に、兵士が『知らないでよいこともあります』と諭すシーンは秀逸です。多くを語らずとも戦争の悲惨さを見事に語っている名台詞です」
「一言で言うと、『救いがない』。これが朝ドラかと思うほどの終わり方。史上最悪のインパール作戦、敵と対峙する前に病死や餓死で命を落とした兵士も多くいたそうです。戦闘で倒れた藤堂先生は本望だったのでしょうか?『もう一度会いたかった』。最後の言葉が耳に残ります」
「涙なしには見られませんでした。制作者の覚悟というか思いが溢れたもの凄い映像でした。歓迎会を準備する穏やかなシーンとの対比に鳥肌が立ちました」
「裕一の甘っちょろい音楽観を、アッケなく、一瞬で打ち砕いてしまったリアルな現実。裕一は『ウソ、ウソ、ウソ』とか、まるで子どもみたいなセリフしか口にできなかった。ここらへんは、窪田正孝の見事な演技力。ラストの放心しきった裕一の後ろ姿は、狂気さえ感じさせたよ」