3ヶ月前、視聴者からモーニングショーに届いた取材依頼の手紙。そこには悪質中古車販売業者の驚きの手口が書かれていた。
今年初め、岐阜市の業者からインターネットで中古車を購入した名古屋在住の会社員Aさんは、2月中旬に代金270万円を振り込んだ。しかし、当初3月中旬だった納車予定は4月へと次々と延期される。問い合わせに業者X氏は「エンジンに異常が出た、整備に時間がかかる」など、説明は二転三転どころか20転30転。代車として渡されていた車には車検証も入っていない状態だった。
不信感を覚えたAさんは、名古屋の運輸支局で車の前所有者を調べて連絡を取ったところ、驚きの事実を知らされた。「あの車が売られてしまったことにびっくりです。去年の九州豪雨の水没車だったんですよ」。Aさんは270万円の返金を求めたが、その後X氏とは連絡がつかなくなっている。
全国で同様被害、被害総額は1500万円以上にも
モーニングショーが取材を進めると、同様の被害を訴える人が北海道から沖縄まで全国にいて、被害総額は1500万円以上になることが判明した。
番組に手紙が届いてから1ヶ月。AさんはX氏の会社を訪ねたが人の気配は全くない。自宅とみられる住所もドアノブに蜘蛛の巣がはっている。弁護士が携帯電話の料金支払い情報を入手したが、そこに住んでいるのはX氏の親族女性。女性は「みなさんに迷惑かけているのは知っていますが、私は謝ることしかできない」と語る。A氏は裁判を起こしたが、X氏は公判に出廷しなかった。Aさんは「判決はゴールではない。お金も時間も返ってこない」と語る。
水没車を見分けるには、シートベルトに泥のシミがないか、説明書などが湿気でシワになっていないかなどがポイントになる。他にiD車両やグー鑑定など、第三者機関の鑑定書があるかどうかもチェックポイントだという。
石原良純(気象予報士、タレント)「水没車ということは事故物件ですよね。自分で鑑定しないといけないのかな」
司会の羽鳥慎一「現状、(業者には水没を説明する)義務はないそうです」
山口真由(ニューヨーク州弁護士、元財務官僚)「民事と刑事にまたがる裁判は難しい。警察の捜査が進まないと、民事で判決が出てもお金が戻ってこないので、並行して進めないと泣き寝入りになってしまう」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「売る側が隠した場合は買う側が見抜かないと被害にあってもしょうがないで終わってしまう。信用のある業者が間に入っていれば、業者の信用で担保できる」