萩本欽一という老コメディアンがいる。そういってもわからない人の方が多いだろう。浅草の軽演劇出身で、坂上二郎と組んだお笑いコンビ「コント55号」でテレビ界を席巻した。その後も、『欽ドン』などの冠番組を大ヒットさせ、「視聴率100%男」なる異名をとった伝説の男である。
文春で「欽ちゃん(79歳)の人生どこまでやるの!?」を連載している。今週はその中で「糟糠の妻を看取った」と語っている。彼より3つ上の妻・澄子(すみこ)が、4年前にがんが見つかり、闘病生活を続けていたが、8月の終わりに亡くなったというのだ。葬儀は彼女の望み通り、近親者だけで密やかに行ったそうだ。読みながら、私が週刊現代で萩本の連載を担当していた頃のことを思い出していた。
私が31、彼が35の時であった。超人気者だった萩本だが女性との噂はほとんどなかった。雑誌屋の性(さが)で、愛人でもいるのではないかと、記者を使って彼の周辺を調べさせたことがあった。たしか神奈川県のほうだったと記憶しているが、某女の家に時々、欽ちゃんに似た男が出入りしているという情報が寄せられた。女性は、彼が浅草の東洋劇場にいた頃の踊り子で、年上で幼い子どもがいるという。
私は超人気者だった萩本欽一に女がいないか調べた。すると、子どもまでいる踊り子が!2人はその後、有名なおしどり夫婦になった
人気絶頂の彼が、年上の踊り子と? もちろん萩本には内緒だったが、ある日、彼の事務所から「萩本がNHKで記者会見をする」と電話が入った。ピンときた私は、NHKに駆けつけた。連載の中で萩本は、
「NHKの記者クラブでぼくは自分に子供がいること、その人と結婚することをカメラの前で喋った。『実は結婚しているんです』。会見ではそういったけど、実はそれがスミちゃんへのプロポーズの言葉だったんだ」
テレビを見ていた澄子は驚いたそうだ。その後に会った時、「せっかく有名になれたのに、そんなことを言っちゃいけない」と萩本に怒ったそうだ。浅草で芸に打ち込んでいるが芽の出ない貧しい芸人を、年上の踊り子は優しく見守り、何くれとなく面倒を見てやっていた。
超売れっ子になった芸人が会いに来て、「何か欲しいものは」と聞かれた。子どもが欲しいといった。だが、妊娠したことが分かると彼女は、彼の前から姿を消してしまった。私の記憶と、彼の記述にやや齟齬があるが、萩本が結婚を決意したきっかけは、私の取材だったと思う。連載が終わる時、萩本に「彼女を取材していたのは私だった」と打ち明けた。一瞬驚いた表情をしたが、何もいわなかった。
結婚した2人は、芸能界でも有名なおしどり夫婦になった。萩本はこう感謝の言葉を述べている。「スミちゃんはそんなふうに、最後までぼくのファンでいてくれた。そして、優しい三人の子供たちを、しっかり育てた母親でいてくれた。(中略)スミちゃん、ありがとうね、って」。
遠い過去が甦った。
三浦春馬と10年来の友・山田親太朗は「結局、春馬が何で悩んでいたのか、思い当たることはない」という。男の親友とはそんなものだ
竹内結子と三浦春馬ロス続いている。一部には、自殺した有名人を取り上げるのは、自殺者を増やすことにつながるという批判がある。だが、この2人の死は、人間が生きるということはどういうことなのかという重い問いを、われわれに投げかけているように思う。文春は今週も2人を取り上げているが、「なぜ」という解は見つからない。
竹内は、女優として成功し、渋谷区内の高級レジデンスを一括で購入しても、「"普通"であることへの憧れというか、こだわりがあった」(竹内の友人)という。優しい女性を演じることも、『ストロベリーナイト』のように、男勝りのデカを演じることもできた。ドラマでは「主演しかやらない」と豪語する一面もあったという。
売れない俳優との結婚も、うまくいっていたという証言もある一方、一人で何でも抱え込んでしまうタイプだから、「夫が育児に協力的ではない」と愚痴ることもあったという証言もある。亡くなった日の夜、酒を飲みながら夫と長男と話していた。途中でふらりと竹内が2階に上がったため、夫はてっきり彼女が寝たものと思っていた。変わり果てた竹内を発見したのは約1時間後だったという。逢魔が時という言葉が浮かぶ。
春馬と10年来の友であるタレントの山田親太朗が、「親との関係」や「相談相手」について語っているが、結局、「ひとの家族に首突っ込むこともしたくないじゃないですか。その後、(親とは)復縁したとも聞いていて安心していたし。仲間で振り返ってみても、その後も春馬が悩んでいたとか、思い当たることはなかったから」。
男同士では、身内とのいざこざや、金銭問題など話はしない。たとえポロッとこぼしても、「そんなことでウジウジしてないで、仕事頑張れよ」となり、後は朧(おぼろ)である。そうしてある日突然、友人の訃報に接するが、思い出すのは、いつも優しかったアイツの顔ばかり。親友だから何でも話し合うというのは、三文作家がつくり上げた"幻想"である。
「イソジン会見」の吉村洋文知事の経済オンチには呆れる。こんな人をシャッポにして「大阪都」にしてしまっていいのか
ところで、一時は時の人だった吉村洋文大阪府知事だが、あの「イソジン会見」以来、メッキが剥がれたようである。よほど薄いメッキだったのだろう。この会見には松井一郎大阪市長や、イソジンがコロナに効くといい出した大阪はびきの医療センターの松山晃文も出席したが、大阪府の人間が情報公開請求で入手した文書によると、会見前の7月31日、彼らが話し合っていた面談記録があったという。
そこで松井は、「公表したら薬局は大慌てになる。株価にも影響する話」と、株価の件にも触れていた。だが、吉村はそれをスルーし、松山が発表するはずだった研究成果を、突然、自分で発表するといい出したというのである。自己顕示欲というだけでは済まされまい。吉村は文春に対して、「僕は株価を意識していない。気になっていたら、逆に市場が終わってから発表しようと言っているはず」 と答えている。
だとすれば、この御仁、よほど経済について無知と見える。こんなのをシャッポにして、「大阪都」にしてしまっていいのかい?
さて、「Go To」トラベルに東京が加わったが、特に地域共通クーポン券をめぐる混乱が各地で起きていると、新潮が報じている。事務局へ申請して承認してもらったが、肝心のポスターやステッカーなどのキットが届かない、クーポン券が届かないなどのために、申請を取りやめようという店も多発しているらしい。
東京・西新橋にある事務局は寄せ集めで、自分の会社に有利にしようとするから、当然だが、連絡、伝達が遅すぎるそうだ。その上、JTBなどの大手が取り扱いも多く、大手の一人勝ちになるという構図が見え見えだ。本来なら、一番困っている中小の旅行業者を優先的に救済しなくてはいけないのにである。こんな大手有利の仕組みを進めたのは、観光業界のドンといわれる二階俊博幹事長である。菅義偉首相もかんでいるといわれる。
この連中は、権力を自分の利益を増やす道具としか考えていないのだろう。
西川徹と岡野原大輔が起業したAI開発の会社がスゴイ。こうした若者が、日本を、世界を変えていくのだろう
ところで、「プリファード・ネットワークス」という会社をご存じだろうか。私は知らなかった。現代によると、14年に起業したこの会社の推定企業価値は、いまや約3600億円に達しているという。ここと提携を結びたいと、トヨタ、ファナック、三井物産、みずほ銀行など大企業が列をなしているそうだ。現在の社員数は約300人で、そのほとんどが研究者。広報担当もいなければ、代表電話すらないという。
簡単にいえば「AIを開発している」そうだが、この会社がすごいのは、開発力が他社を寄せ付けないレベルにあるからだという。彼らは「深層学習」に特化していて、この分野では世界でも指折りの実力を持っているそうだ。さらに、演算に使うスーパーコンピューターまで自分たちで開発し、その性能もすごいという。
完全自動運転の技術や、「全自動お片付けロボットシステム」を開発していて、ロボットが散乱したものを、衣類は洗濯籠、ゴミはゴミ箱、フタがついたものは天地を判別、スリッパの向きまできちんと揃えることができるという。これならカミさんはいらないな。
東京大学大学院情報理工系研究科の同級生、西川徹と岡野原大輔が起業した。西川が経営面をやり、天才の中の天才といわれる岡野原が技術面を舵取りしているそうだ。さらにすごいのは、企業が持ち込んできたプロジェクトを検証して、自分たちでなくてもできる、既存の技術でできると判断すれば、時間のロスだから引き受けないそうである。この社の社是の一つは「死ぬ気で学べ」。こうした若者が、日本を、世界を変えていくのだろう。
フライデーから。私はまったく知らないが、格闘界に皇治(31)というイケメンがおるそうじゃ。そやつが、元シンクロ日本代表の青木愛(35)と食事の後、渋谷の高級ホテルへと入っていったそうじゃ。青木は、土曜日の『旅サラダ』(テレビ朝日系)で見ているから知っている。なかなかかわいい子じゃ。だがこの皇治という男、元ゴルフ賞金女王の森田理香子(30)とも交際していると、フライデーが報じている。
二股なんてけしからん! そうはいってみても、女はマッチョに弱いからな。 フライデーにお願い。このところYouTuberとか、若いお笑い芸人だとか、若者にはいいだろうが、ジイちゃんバアちゃんの知らないのが多いな。われわれにでもわかるタレントを「激写」してもらえんかね。
「MEGA地震予測」の村井名誉教授によると、首都圏と東海が非常に危ないという。今大地震が日本を襲えば複合災害で日本は沈没する
最後に、ポストでお馴染みの「MEGA地震予測」を主宰する村井俊治・東京大学名誉教授がこう警告している。「6月中旬~8月末にかけて、例年に比べて最も多い異常変動が確認されました。この時期は例年、異常変動が多くなる傾向にあるものの、今夏は特に多い。今年は大きな地震の発生が少なかったため、エネルギーが放出されずに溜まっていると考えられます」。
村井名誉教授曰く。中でも1番危ないのが「首都圏と東海警戒ゾーン」だという。「山梨県にある電子基準点『小菅A』で8.26センチ、静岡県にある『大仁』で7.25センチの異常変動が観測されたほか、東京から静岡にかけて異常変動が集中している」(ポスト)
村井名誉教授が解説する。
「マップには反映されていませんが、最新の国土地理院の速報データでは、9月中旬に神奈川の『大井』でも9センチの大きな異常変動が現われました。大井町は1923年に発生して10万人の死者・行方不明者を出した関東大震災の震源地のひとつとされている場所です。約100年を経て大きな異常変動が観測されたことを懸念しています」
2番目は北陸・信越警戒ゾーン。3番目は東北地方警戒ゾーン。4番目は南海・東南海警戒ゾーン。5番目は北海道北東部警戒ゾーンだという。村井名誉教授がこう付け加える。
「新型コロナ、台風、豪雨に加え、今年は大きな地震が少なかったため、地震への備えが疎かになっているように感じます。しかし、日頃の準備が、いざという時に被害を最小限に抑えるのです」
今大地震が日本を襲えば、複合災害で日本は沈没する。(文中敬称略)