竹内結子はその夜、酒を飲みながら夫と長男と話していた。途中でふらり2階に上がったため、夫はてっきり彼女が寝たものと思っていた。変わり果てた彼女を見つけたのは1時間後だったという。逢魔が時という言葉が浮かぶ

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三浦春馬と10年来の友・山田親太朗は「結局、春馬が何で悩んでいたのか、思い当たることはない」という。男の親友とはそんなものだ

   竹内結子と三浦春馬ロス続いている。一部には、自殺した有名人を取り上げるのは、自殺者を増やすことにつながるという批判がある。だが、この2人の死は、人間が生きるということはどういうことなのかという重い問いを、われわれに投げかけているように思う。文春は今週も2人を取り上げているが、「なぜ」という解は見つからない。

   竹内は、女優として成功し、渋谷区内の高級レジデンスを一括で購入しても、「"普通"であることへの憧れというか、こだわりがあった」(竹内の友人)という。優しい女性を演じることも、『ストロベリーナイト』のように、男勝りのデカを演じることもできた。ドラマでは「主演しかやらない」と豪語する一面もあったという。

   売れない俳優との結婚も、うまくいっていたという証言もある一方、一人で何でも抱え込んでしまうタイプだから、「夫が育児に協力的ではない」と愚痴ることもあったという証言もある。亡くなった日の夜、酒を飲みながら夫と長男と話していた。途中でふらりと竹内が2階に上がったため、夫はてっきり彼女が寝たものと思っていた。変わり果てた竹内を発見したのは約1時間後だったという。逢魔が時という言葉が浮かぶ。

   春馬と10年来の友であるタレントの山田親太朗が、「親との関係」や「相談相手」について語っているが、結局、「ひとの家族に首突っ込むこともしたくないじゃないですか。その後、(親とは)復縁したとも聞いていて安心していたし。仲間で振り返ってみても、その後も春馬が悩んでいたとか、思い当たることはなかったから」。

   男同士では、身内とのいざこざや、金銭問題など話はしない。たとえポロッとこぼしても、「そんなことでウジウジしてないで、仕事頑張れよ」となり、後は朧(おぼろ)である。そうしてある日突然、友人の訃報に接するが、思い出すのは、いつも優しかったアイツの顔ばかり。親友だから何でも話し合うというのは、三文作家がつくり上げた"幻想"である。

吉村洋文大阪府知事
吉村洋文大阪府知事

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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