昨年(2019年)4月、東京・東池袋で母娘をひき殺した「池袋暴走」で、過失運転致死傷に問われた工業技術院元院長の飯塚幸三被告(89)の初公判が、きのう8日(2020年10月)に東京地裁で開かれ、事故原因は車の不具合だと無罪を主張した。番組コメンテーターたちは「元高級官僚の驕りではないか」と指摘した。
飯塚被告は車イスに乗って入廷し、冒頭で遺族に謝罪した。しかし、罪状認否では「アクセルを踏み続けたことはなく、車に何らかの異常が発生して暴走したと思っています」と無罪を主張し、「ただ、暴走を止められなかったことは申し訳ございません」とした。
高山弁護士「89歳という高齢を考慮し執行猶予が付きそう」
これに対して、検察側は「半年ごとの点検では異常はなかった」「車載式故障診断装置に故障記録はなく、アクセルを踏み込んだデータとブレーキを踏んでいないデータが残っている」「後続車は、ブレーキランプは点かなかったと話している」などを根拠に、「ブレーキペダルとアクセルペダルを間違って踏み続けたことによる暴走」と主張した。
検察側の冒頭陳述に比べ、飯塚側の主張はいかにも説得力に乏しい。吉永みち子(ノンフィクション作家)はこう皮肉った。「高級官僚さんでいらっしゃって、自ら間違いを認めない人生をずっと送ってこられたからなのか、ご高齢で本当に自分に過失がないと思い込んでしまっているのか。裁判では、ここが難しいところになるのかなあとも思いますけどねえ」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「無謬性と言いますか、官僚は間違えない、間違えを認めてはいけないということが、この人は自分の人生に染みついてしまっているのかなあ」
長嶋一茂(スポーツプロデューサー)「(有罪で)ご遺族の思いは晴れるかといったら、非常に難しいですよね。この裁判でご遺族の気持ちが少しでも救われてほしいというのが、僕はいちばんだな」
交通事故に詳しい高山俊吉弁護士は「被害者が多く、実刑が考えられるが、89歳という高齢を考慮して、執行猶予が付く可能性が高い」と解説している。次回公判では、後続車のドライバーが証言する。