池袋暴走事故、89歳被告が無罪を主張「アクセル踏み続けた記憶ない」菊地弁護士は「被告は記憶だけで物証は難しい。5年前後の実刑か」

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   東京・池袋で去年4月、青信号で横断歩道を渡っていた松永真菜さん(当時31歳)と莉子ちゃん(当時3歳)母子が、暴走した車にはねられ死亡した事故の初公判が8日、東京地裁であった。

   運転していた旧通産省工業技術院・元院長の飯塚幸三被告(89)は車いすで出廷。冒頭で「今回の事故により、奥さまとお嬢さまを亡くされた松永さま、ご親族に心からおわびします」と、頭を下げて謝罪した。しかし、起訴内容について、「アクセルペダルを踏み続けたことはなく、車に何らかの異常が生じたと考えます」と否認した。

妻子を失った松永さん「私の思いは、もう残念だな、と」

   事故から1カ月後の実況見分に立ち会った際には、「パニック状態になり、アクセルとブレーキを踏み間違えた可能性が考えられる」と供述していたが、これを覆し、無罪を主張した。検察側は「車の故障診断装置に故障記録はなく、アクセルが踏まれブレーキを踏んでいないデータが記録されている」と指摘した。

   夫の松永拓也さん(34)は公判後、「加害者が車の不具合だという主張をされていて、私の思いはもう、残念だな、と」と話した。

   公判後の番組のインタビューには、松永さんとともに、交通犯罪の遺族で作る「あいの会」で活動する小沢樹里さん(39)も同席した。小沢さんも2008年に飲酒運転の車の事故で義理の両親を失ったが、松永さん母子の事故の後、松永さんに「どうか一人で苦しまないで、抱えないでください」とする手紙を送っていた。松永さんは小沢さんとの出会いをきっかけに、飯塚被告に「厳罰を求める」街頭署名を行ない、39万人分を集めて、東京地検に提出した。去年11月には、「あいの会」のメンバーらと国土交通省に出向き、高齢者運転の安全対策やドライブレコーダーの義務化などを求めた。

   タレントの近藤春菜「私たちができることは、運転する側の立場として、これを他人事としないことだと思う」

   菊地幸夫弁護士「被告人の主張は、『記憶』。検察側は『データ』です。証拠の信用性では、検察側が勝っている。被告人側の立証はこれからだが、『物証』を出すのは難しいと思われます。過失運転致死傷は上限が懲役7年。前例と照らし合わせると、懲役5年前後の実刑判決が想像できる」

   高齢ドライバーの運転免許返上問題をもう一度考え直したい。

文・栄

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