GoToイートキャンペーン利用でもらえるポイントを荒稼ぎする「錬金術」がネットで話題になっている。キャンペーンでは、ディナーをネット予約して来店すると1000円のポイントがもらえる。この制度を利用して、全品298円(税込み327円)の居酒屋チェーン「鳥貴族」で1品だけ頼み、1000円分のポイントを得ることで、実質673円の儲けとなる。これが「トリキの錬金術」といわれている。
SNSでは「無料の水と焼き鳥1品で673円の利益。5店で日給3000円」などという投稿がある。また、近場に鳥貴族が2店出店している場所は「トリキマラソン」と言われ、ハシゴして2000円分のポイントをもらう者もいる。
農水省「抜け穴利用は理論上、問題はない」
7日(2020年10月)の国会では問題となり、加藤勝信官房長官は「問題は承知している」、西村康稔経済再生担当相は「農水大臣と話し、さまざまな対応をしている」と話した。
鳥貴族は「事実として把握しているが、1品だけの注文には困惑している」としているが、同様の困惑はほかの飲食店にもある。バー・レストラン「横浜ベイブルーイング関内本店」(横浜市)では、会計1000円以下の注文客が相次いでいる。キャンペーン前の先月は3組だけだった予約客が、今月はすでに17組。「反響にはビックリしている」と言いつつ、950円のビールだけを飲んで帰られると、赤字になってしまうと嘆く。
GoTo利用の手数料220円が大きいからだ。つまり、950円の売り上げから220円の手数料を引くと、730円。ここから原価や人件費などの経費を引くとマイナスになるというのだ。店としては1人当たり2200円以上の飲食をしてほしいという。 東京・上野のやきとり店「鳥笑本店」では1本100円から焼き鳥を提供しているが、「注意喚起はしていない」という。「1本だけのつもりで来たが、つい5本10本と食べてしまったと言われるようなやり方でやっていく」と話した。
こうした「抜け穴」的利用について、農林水産省の担当者は「制度の理論上、違法ではない。想定済みで問題はないと思っている」とコメントし、キャンペーンの対象を一定の料金を支払うコース料理などに限定すればよいと指導している。鳥貴族でも7日、キャンペーンの対象を1635円以上のコース料理のみにすると発表した。
「GoToを逆手に取り、荒稼ぎしている人がいる」と言う国山ハセンアナに、フリーアナウンサーの小林麻耶は「ランチで利用して、つい食べ過ぎてしまった。ポイントはその日にもらえると思ったら、後日なんですね。今はそのポイント待ちですが、お得感はある」と打ち明けた。
司会の立川志らくは「農水省の回答がよろしくない。違法じゃないから問題はないというのはよくない。困っている飲食店をさらに困らせてどうするのか」と怒った。