政府は「男性の育児休暇の義務化」を打ち出したが、中小企業の7割以上がこれに反対しているという調査結果が出た。「人手不足」が主な理由だ。さらに、ワークライフバランス代表の小室淑恵さんは、もう1つの理由を説明する。「(上司が)人が休むことを許容できないから」と言うのだ。
小室さんは「『自分がこんなに大変なのに』という考え方をする。マネージメント層が自分の減点になるという誤解をしているんです」と話す。その結果、育休を取ってはいけないという空気感が従業員に広がってしまうというのだ。
製造業の会社に14年間勤務する男性Aさん(30代)も、「許容できない上司」に当たってしまった1人だ。2か月間の育児休業を申し出たところ、社長から「男が育児休暇を取るなんて、バカじゃないのか。退職届を出せ」「もし休んだら今のポジションに戻れると思うなよ!」などと罵倒された。Aさんはやむなく、2週間の有給に変更したが、会社に復帰すると突然、残業の多い部署に異動命令が下された。報復人事だった。
男性育休を義務化している会社は、休みのカバー体制を強化
一方で、男性育休を義務化している会社もある。大型施設の屋根に使う部品を製造する会社で国内販売トップシェアの「サカタ製作所」(新潟県長岡市)は、2018年から男性の育休取得率100%を達成している。成功の秘訣は、人出不足に陥らないように従業員たちの仕事を標準化し、誰かが抜けてもほかの人がカバーできる体制を作ったこと。さらに、坂田匠社長の「業績は落ちても構わないから、働き方改革を推進しなさい」という方針があり、社員は安心して休めるようだ。
スタジオでは賛否両論だった。
キャスターの立川志らく「国の義務化には反対です。それよりも男性の意識を変えないと。家事も何もできない男性がひょいと休みを取っても、自己満足でしかない。返って邪魔になっちゃうよ。子どもが生まれる前から炊事洗濯掃除を普通にできるようにしないといけない。育児は普段からできます」
司会の国山ハセン「意識を変えるために義務化するという考え方はありませんか?僕はそういう意味で賛成です。労働者側としては、義務化していないと仕事に戻る時が不安です」
メインコメンテーターの田村淳(お笑いタレント)「話していて思ったのは、志らくさんの言う通り、育休の期間だけ育児をやるっていうマインドじゃやっぱダメですよね」