日本学術会議新会員の任命拒否問題で、菅義偉首相はきのう5日(2020年10月)、内閣記者会インタビューで首相の任命権の問題だと強調した。
菅首相は「人選は現在の会員が自分の後任を指名することが可能になっている。任命責任は総理大臣にある。前例を踏襲して良いのか考えてきた」と語った。さらに「学問の自由とは全く関係ない。6人が政府法案に否定的な立場だったことには一切関係がありません」としたが、具体的な理由については「個別の人事についてはコメントを控えたい」。
2011年から17年まで学術会議の会長を務めた大西隆氏が、モーニングショーにリモート出演し、学術会議の仕組みを説明した。
1949年の設立当初、科学者の投票で決まっていたが、組織票が大きくなったため84年に学会が推薦する方法に変更。さらに2005年に学会の影響を避けるため、選考委員が取りまとめる今の方式に改められたという。
現在は、女性会員の比率や、地方と東京の研究者のバランス、企業や国の研究者も発掘する方向で検討が行われている。
元会長「研究成果が理由なら問題ないが、政治信条なら問題」
田﨑史郎(ジャーナリスト)「政府に弱点があって、6人の任命拒否の理由が明かせない。説明してもらったほうが腑に落ちる」
大西元会長「学術会議の会員は選考基準に照らして推薦する。研究成果が理由なら問題ないが、政治的信条で拒否なら問題。政府の拒否が続けば、特定の人たちの集団になってしまう」
青木理(ジャーナリスト)「菅さんは、歴代政権が行使しないほうがよいという人事権も行使してきた結果、忖度が起きた。学者の皆さんも自粛、萎縮が起きる」
玉川徹(テレビ朝日解説委員)「(任命拒否は)推薦理由を超える理由が必要になる。説明しないままだと憲法解釈の裁判になってもおかしくない。裁判になる前に説明された方がいい」
田﨑史郎「菅さんが思い込んでいる可能性もある。学術会議会長と懇談することが大事」
番組中にLINEで視聴者からの選考基準はどうなっているのかの質問が入った。
大西元会長「選考の際には、研究論文や特許を5つ程度、さらに受賞歴を書いた推薦書が作られる。今回、学術会議が選考基準に照らして有資格を保証したのに、総理としてはどうなのか。(学術会議は)批判的立場の業績を評価している」