日本学術会議が推薦した新会員候補105人のうち6人について、菅義偉首相が任命を拒否していたことがわかった。6人はいずれも、安倍前首相の政策に批判的だった人たちだが、任命拒否は初めて。「学問の自由への介入」との批判も出ている。が、加藤勝信官房長官は1日(2020年10月)、「人事に関してのコメントは控える。政府が責任を持つのは当然」と答え、理由は説明しなかった。
日本学術会議は、学者の立場から政策提言する国の特別機関。定員は210人で、任期は6年で3年ごとに半数が交代する。日本学術会議法では、「会員は会議の推薦に基づき、総理大臣が任命する」となっており、首相は任命はするが選任する権利はない。過去の国会でも、政府は「拒否はしない」と答弁している。
「学問の世界にも政権に逆らったら...というメッセージ」
学術会議は「学者の国会」とも呼ばれ、独自の立場から多くの提言をしている。今年だけでも、新型コロナ対策など70近い提言をしている。今期の会員は10月1日から新たになり、会長も2015年にノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章東大教授になったが、6人が欠員となった。
任命を拒否された6人のうち、東京慈恵会医科大学の小澤隆一教授(憲法学)は、2015年の国会公聴会で、安保関連法案を「違憲だ」指摘。また、立命館大学の松宮孝明教授は、17年の衆院法務委員会で、いわゆる「共謀罪」法案に反対意見を表明していた。
学術会議は9月30日、重ねて理由の説明を求める菅首相宛の文書を内閣府に提出。また、拒否された3人が、「総理から理由の説明がなく、憲法23条が保障する学問の自由の重大な侵害だ」との抗議の文書を提出して、撤回を訴えた。
今朝(2日)の毎日新聞は、「官僚掌握術を拡大か」と題して、菅首相が、「政府の方針に逆らう官僚は異動させる」と明言したことをあげて、今回の動きもその延長上にあるとほのめかした。
司会の羽鳥慎一「学術会議は官僚じゃないですよね」
吉永みち子(編集者)「政権に逆らったら......というメッセージ効果はある。学問の世界でも忖度しないといけないとなれば、学問の自由の侵害につながる第一歩。由々しきことです」
羽鳥「なぜ外したのかの理由をいってない」
玉川徹(テレ朝コメンテーター)「言うべきです。この政権の暗黒面が出てきたなと言う感じがする。学術会議はそもそも、過去の戦争に学者が協力した、その反省からできたもの。設立の趣旨にも反する」