11月の米大統領選挙に向け、初のTV討論会が9月29日(2020年)夜に行われた。テーマを追って、互いに意見を述べ合うはずが、トランプ大統領(共和)がのべつまくなしに口を挟んで、バイデン元副大統領(民主)もこれに応じて、完全な泥試合に。ただし、とにかくめちゃくちゃで、めっぽう面白かった。
ざっとこんな具合だ。
バイデン「上院議員に意見を伝えて、今すぐ投票して......」
トランプ(割り込んで)「裁判所を抱き込めるのか?」
バ「上院議員に意見を......」
ト「私の質問に答えたくないんだ」
バ「答えるつもりはない」
ト「どうして? 裁判所に判事を増やしたいんだろ」
バ「おい、黙ってくれ。それが大統領がすることか」
米メディアは「どっちも勝っていない」
ついには、罵り合いになってしまった。
バ「(トランプ氏の10年分の所得税未納疑惑で)この男が納めた税金は、合計750ドル(8万円)だ」
ト「違う。数百万ドルも納めてきた。新聞記事によれば、3800万ドルとも2700万ドルとも」
バ「納税申告書を見せればいい」
ト「手続きが終われば、すぐに見せてやるさ」「節税できる法律を作ったのは、あいつ(バイデン氏)だぞ」
バ「私は減税を廃止するつもりだ。支援を必要とする人に回す」
ト「25年間、どうしてそれをやらなかったんだ?」
バ「あなたは大統領として、何もかも台無しにした」
ト「そっちは上院議員で......」
バ「そっちは史上最低の大統領じゃないか」
司会者が割って入っても、トランプ氏が聞かない。バイデン氏はとうとう「このピエロ」とまでいった罵り合いの1時間30分を、現地メデイアは「カオス」と評した。
そもそもは、最高裁判事の選定、新型コロナ対策、人権と暴力問題などのテーマで討論の予定だったが、元々意見が真っ向から食い違う上に、トランプ氏の妨害発言でまさにカオスに。で、その軍配はというと、CNNの調査では、トランプ氏28%、バイデン氏60%だった。
司会の羽鳥慎一「これはCNNの数字で、メディアによっては、どっちも勝っていないともいう」
高木美保(タレント)「最大の敗者は米国民だと。トランプ大統領は事実誤認がすごく多い。議論の仕方も子供以下だと笑ってしまいました」
テレ朝コメンテーターの玉川徹「これがどれだけ選挙に影響するのかはわからないが、アメリカが尊敬できない国になってきている」
討論会はあと2回行われる。