間違いのリスクに残る不安、導入に抵抗ある人は65%も
国立情報学研究所教授の山田誠二さんは、「技術に100%はありえない。技術には得意、不得意があり、間違いが起こったときにどう対処するかを、考えながら進まないといけない」という。国内のアンケートでも、顔認証によるサービスの利用には、64.8%が「抵抗がある」と答えている。自分の写真がどう利用されるかわからない不安である。
昨年8月フロリダの銀行で、カメラに映った人物を警察がITシステムを使って割り出したのだが、この写真が、SNSへの投稿から無断でコピーしたもので、このシステムはなんと、30億人もの顔写真を集めていたことが判明。FBIの7倍だと大問題になった。連邦政府に技術の使用停止を求めるNPOもある。
NECは2年前、プライバシーや倫理面の助言をする専門組織を作った。企業への顔認証システム導入で、社員の反対を考慮して、ビジネスをやめたこともある。「利便性とリスクのバランスです」と担当者はいう。
一方で、表情を読む技術も進む。オンライン授業で、生徒の集中度を測る専門学校があった。また、社員のメンタルチェックに使っている会社も増えているらしい。心理学者からは、「科学的根拠に欠ける」という指摘もあるらしいのだが......。
武田真一キャスター「どこにいてもわかっちゃうのは気持ちが悪い」
山田さんは「そういう社会がいいか、悪いか考えることが、近未来を考えるきっかけになる」といった。
レンセラー工科大の教授が気になることをいっていた。「偏りは学習データで生み出される。人間に害を与えるような使い方で、技術導入するのは危険だ」と。AIは偏りを判断できない? つまり人間がやるしかない?
文・ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代+(9月29日放送「暮らしが激変!? 急速に広がる"顔認証"」)