自動でクリックするソフトを開発、大金を稼ぐ者も
「(クリック代行で)すべての人が不利益をこうむる。ウィン・ウィンどころか、オール・ルーザー(皆が敗者)の可能性もあります」と高橋さんは指摘する。インスタグラムを運営するフェイスブックジャパンは「いいね!」やフォローの見返りに現金を提供するなどの行為を禁止事項としているが、そこをかいくぐる実態は薮の中だ。
その「実態」はもっと進んでいる。冒頭の主婦は手作業でスマホをクリックしていたが、ブログのランキングを上げる依頼が毎月十数件あるという男性は、自動でクリックするソフトを開発した。これをセットすれば、2時間で1万クリック。「人間は楽をしたがる。数年かかることを、おカネを払えば1カ月でできるならやりますよ」と平然と言ってのける。米国には約100台のスマホに自動クリックアプリを入れて稼ぐ男性もいる。
不正なクリックをどう見つければいいのか。ある日突然フォロワー数や「いいね!」が増える不自然さには要注意だ。高橋さんは「フォロワー数に比べて『いいね!』が少ない」「コメントがあまりない」「アカウント名がランダムな文字列」といったものは怪しいと観察。そのうえで「多くの若者がフォローや『いいね!』を参考に行動するが、操作できるものだということを頭に入れ、複数のサイトから情報を集めるとか、自分でしっかり調べる必要がある」と注意を促す。
こうした現状にGoogleは「無効と判断したクリックは排除されるから、これに対する請求は発生しない」、Yahoo!は「コメントを辞退する」としている。責任感ある態度とはとうてい言えない。
※NHKクローズアップ現代+(2020年9月23日放送「クリック代行ビジネス広がる」)