目の前でキャッシュカードに切り込みを入れて、使えないと安心させたうえでだまし取る「キャッシュカード切り込み詐欺」が多発している。警視庁によると、今年(2020年)1月から8月末までに都内で185件の被害が報告され、被害総額は4億円にのぼる。
なぜ被害者は詐欺師の言葉を信用してしまうのか。神奈川県警が公開した詐欺電話の音声を聞くと、手口の巧妙さがわかる。電話で詐欺犯は「厚木警察署生活安全課のオオガキと申します。金融監視局から電話しています」と実在する部署を名乗り、「他人名義のキャッシュカード、通帳が67人分見つかったので電話しています。家に通帳とカードがあるか確認してほしい」と誘導する。
キャッシュカードを使える切り込み方がある
そして「留守の間に盗難された人もいる。1枚ずつ確認させてほしい。カードの名義がカタカナかローマ字か」と尋ねられた被害者が「詐欺が多い。あなたが警察の人か疑っている」と聞くと、「わかります。警官を装った被害も多発しています」と答えたうえで、「キャッシュカードを証拠品として預かるときには、切り込みを入れたうえでお預かりしています」と説明した。
大阪府警は詐欺で摘発した男から、キャッシュカードの切り込み方を説明したマニュアルを押収している。マニュアルには、ICチップや磁気ストライプの部分を切らないような切り方が書かれていた。
ID認証技術推進協会・多田羅政和常務理事によると「ICチップと裏面の磁気ストライプを両方切断しなければ、キャッシュカードを完全に使えなくすることはできない」という。犯罪ジャーナリストの多田文明氏は「今はSNSで実行犯を募集している。巧妙なマニュアルがあれば素人でも簡単に実行できる」とコメントした。
元サッカー日本代表の鈴木啓太「自分でカードを裁断するときは、真っ二つになるくらいに切る」
お笑い芸人の古坂大魔王「目の前にいる人の言うことではなく、その大本の警察に確認しないとダメ」
小倉智昭キャスター「お年寄りは大変ですよ。電話には出るなとか、訪問客を追い払えとか。これじゃ、宅配の人も大変だ」