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永田町で話題の平沢勝栄の初入閣。拉致被害者を政治利用した過去があり、連続当選8回なのに入閣できなかった。なぜ菅が登用したのか

   今回の組閣で、永田町だけだが、話題になったのは平沢勝栄復興相であった。連続当選8回という実績がありながら、今回が初入閣。新潮によれば、組閣前に杉田和博官房副長官が、「私の目の黒いうちは『彼』の入閣はない」と漏らしていたというのだ。杉田は警察庁出身で、平沢も元警察官僚。新潮で全国紙の政治部デスクが、「平沢さんは、官僚時代からパチンコ業界との関係などが噂されてきましたからね」と話している。

   だがそれだけではなく、平沢には、「拉致問題を政治利用」した過去があるのだと新潮は指摘する。2003年5月、新潟県佐渡島から上京した拉致被害者の曽我ひとみを、自分の選挙区である葛飾区の柴又帝釈天などを引き回し、その様子をビデオカメラで撮って、テレビで放送させたというのである。

   曽我は、母親のことを知る人物に会わせてやるといわれて呼び出されたのだが、そのことについては何もなく、「みせ物の為に行ったようになりました」(曽我)。彼女が関係者に手紙を送り、拉致被害者を「救う会」の西岡力が、「平沢氏が何を考えているのか、まったく理解に苦しみます」というコメントを当時出し、批判していた。

   文春によると、平井卓也デジタル担当相は、香川県でシェア6割といわれる四国新聞ファミリーの出で、傘下も含めて「ファミリー企業から全面的支援を受けることは、国民の目から見て『当たり前』なのだろうか」(文春)と指摘し、上川陽子法相は、黒川弘務を検事総長にしようとした計画の張本人だと報じている。菅は、再任や古手を起用すれば、スキャンダルは避けられるという思惑で、新鮮味のない連中を選んだのだろうが、この分では、古傷が次々に暴かれることになりそうだ。(文中敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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