映画館で映画を見るということは、自分自身を見つめること
映画は映画館で観ないと本当の良さはわからないと言われるが、黒沢監督はこれについてこう語った。
「僕も家で、DVDやパソコン画面の配信で見ることは多いですよ。それはそれで、映画館ではみんなである何かを見て、知らない者たち同士が、一緒にワーッと笑い合う。逆に、つまらない映画でみんな帰っていくのに、自分だけは面白くて最後のエンドロールまで見てしまったということもあるかもしれない。映画館で映画を見るということは、映画と自分との関係だけでなく、自分と他の人との関係、自分のポジションを知ることができるんです。それがエンターテイメントの存在意義じゃないでしょうか」
なんだか、妙にうまくまとめられたクロ現+だったが、それもそのはずで、「スパイの妻」は実は黒沢清監督とNHKが組んで超高精細の8Kドラマとして制作し、1秒あたりのコマ数などを調整して劇場版にしたものだ。6月(2020年)にBS8Kで放送され、10月16日から劇場版が全国公開される。クローズアップ現代+は自画自賛の映画宣伝というわけだった。
※NHKクローズアップ現代+(2020年9月23日放送「17年ぶり快挙!ベネチア監督賞 黒沢清監督が語る」)
文
カズキ