9月16日(2020年)に発足した菅内閣は、縦割り行政の排除や規制改革を集中的に進めるという方針のもと、翌17日に行政改革目安箱(縦割り110番)」を設置した。河野太郎行政改革担当相は自ら「すべての情報に目を通す」と当初は100通くらいと思っていたというが、届いた意見は設置数時間で4000通を超え、受付を一時停止する騒ぎになった。
不満を感じる縦割り行政は何か?スッキリでは街頭インタビューを行った。
子供を保育園に入れようと探している36歳の主婦は「保育園か幼稚園かで見るところが違う。入園関連の情報が集めにくい」という。保育園は厚労省、幼稚園は文科省、認定こども園は内閣府と管轄が違うため、自治体によっては情報が違うページに記載されているのだ。
過去からずっと直らない。国民目線に立ってほしいのに...
会社員の22歳女性は、結婚によって名字が変わることで、職場の書き換えや印鑑、免許証の変更などが必要になり、結婚しづらいと訴える。夫婦別姓制度は平成8年の答申以降議論されているが、導入のめどは立っていない。他にも難病手帳の更新で役所と保健所で手続きがたらい回しになる女性や、小学校の学区制度を自由に選びたいという小学生など、さまざまな不満が。
専門家も縦割り行政の弊害を訴える。
東京歯科大学の寺島毅医師は「病院など医療は厚労省、医大など医師養成は文科省。医療現場で医師が足りないと思っても、医学部の定員に反映しない」。名古屋大学の内田良准教授は「3月の学校一斉休校時には、保護者の働き方が問われなければいけなかった。文科省が厚労省など他の省庁と連携しなければいけなかった」と訴える。
なぜ縦割り行政になるのか。政策アナリストの石川和男さん「要は領土を取られたくない。それぞれの役所で自分のところが主導でやろうという思惑がある。規制改革は予算編成より100億倍難しい。手続きを1個でも減らしたらたいしたものだと思う」と語る。一方で「霞が関の人事権に強い菅総理だからこそできるのでは」と期待を寄せる。
杉山愛(元プロテニス選手)「一斉休校の問題を見ると、親として他省庁との連携は必要」
司会の加藤浩次「民間企業のホームページが使いやすくなっている中、行政のホームページはややこしい」
森圭介アナウンサー「行政は提供する側の論理で、ユーザー側の視点が欠落している」
橋本五郎(読売新聞特別編集委員)「省庁の権限をはがすと仕事がなくなってしまうので崩せない。他にもオンライン診療を進めようとすると医師会が反対するなど業界の壁もある。国民の生活目線に立つ必要がある。民間の人もいれて活性化しないといけない。壁を乗り越える戦略を!」
加藤浩次「官僚の方が悪意を持ってやっているわけではないと思うが、変えていくのは大事」
文・みっちゃん