妖怪たちの「シェアハウス」は田舎の実家の温かさそのものだ
この妖怪たちの「シェアハウス」に田舎の実家の温かさをなぞらえた人も多かった。
「座敷わらし母さんと歳が変わらない立派なオバちゃんですが、見ている時はすっかり澪ちゃんの立ち位置です。子供を産んでいるし、親も看取っていますが、大人だって里心を抱えて歯を食いしばって頑張っている。シェアハウスは、そんな大人の実家みたいでした。これが普通の人間のシェアハウスならここまで子供帰りしない(笑)。どんな事をしても敵わない世界の彼等(妖怪)だからこそ、絶対的な安心感で澪になれるのかも知れません。おちょぼ紅の温かいお母さん、抜きすぎのとぼけたお父さん、おきゃん(死後)で過保護なお姉ちゃん、物騒で頼もしいお兄ちゃん。誰もが愛情深い。懐かしくて居心地が良くて幸せだった。心から感謝!」
「タイトルは妖怪シェアハウス。だから澪も妖怪の一員だったのですね。妖怪さん達は恐ろしいイメージとは程遠い存在でした。ウザいところもあるけど、お節介でユーモアがあって、人情味溢れる下町にいるようなおっちゃん、おばちゃん、お兄ちゃん、お姉さん達でした。容姿は妖怪でも内面はハートフルな人間そのもの。妖怪と人間のイメージ逆転が、モンスター人間を量産する社会への皮肉になっています。澪は、心にこびりついていた厄介な錆が取れて本来の自分に戻った。晴れ晴れしい気持ちで自由になった澪は、世間体に囚われた人間から見れば、理解を超えた妖怪に映るかもしれません。ですが、妖怪モードになった澪が、今度は誰かの魂を救ってあげる側になり、新しい物語が生まれるのですね」