きのう14日(2020年9月)に行われた自民党総裁選は、予想通り菅義偉官房長官の圧勝で終わった。熾烈を極めたのは2位争い。石破茂元幹事長は地方票が開票された時点で2位につけたが、最終的には岸田文雄政調会長が逆転した。その裏には、24票の施し票があった。
地方票は、菅氏が89票、石破氏が42票、岸田氏が10票。国会議員票は菅氏が288票、石田氏が26票、岸田氏が79票で、合計では菅氏が377票の圧勝。2位は岸田氏の89票、石破氏は68票となった。岸田氏は最終結果が読み上げられた瞬間、フェイスガードの中で「よしっ」と口が動き、小さく笑みを浮かべていた。
ANNの事前の票読みでは、菅氏は400票に迫る勢いだったが、実際は約20票少なかった。政治ジャーナリストの田﨑史郎氏は「24票の施し票が岸田氏に流れた」と解説する。「施し票」とは、特定の候補が圧勝しそうなときにあえて弱い候補に票が流れることを指す。「自民党総裁選の歴史では、強い候補がいると、バランス感覚が働いて弱い候補に票が流れることがあります。今回は、岸田さんをなんとか生かしたいという思いが安倍晋三首相や麻生太郎財務相に強くありました。それだけ安倍さんたちの『石破さんを許さない』という思いが強かった」と田﨑氏は解説する。
岸田陣営は勝ったような盛り上がり「施し票は秘密にしよう」
斎藤ちはるアナウンサーが、きょう15日(2020年9月)の読売新聞の朝刊を引用し、「施し票の舞台裏」を伝えた。それによると、岸田陣営の票読みは議員票55票だったが、実際はそれより24票多かった。投開票後の岸田陣営の結果報告会は勝ったかのような盛り上がりで、あいさつの中で「議員票で誰が上乗せして入れたかは秘密にするのが一番いい」と発言した人もいたという。
田﨑氏「安倍首相や麻生さんは、ずっと『次は岸田さん』と言っていたのに、岸田さんでは石破さんに勝てないことがわかって菅さん擁立に走った経緯があります。このため、岸田さんに対してある種のうしろめたさがありました。政治は感情で動く部分があります」
青木理(ジャーナリスト)「他局のドラマで『施されたら施し返す。恩返しだ』というのがありましたね」
菅野朋子(弁護士)「これで国民が納得するでしょうか」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「安倍政権の7年8カ月を続けたいという思いが(自民党に)あったのでしょう」