犬にとっての幸せと人間にとっての幸せが重なる「愛」
なぜなら、これは犬の視点を映像にした作品であり、ここを出なければいけないことが分かったら犬は淡々とそうする。彼とマロナとのシーンはどれもアニメーションならではの表現に満ちた素晴らしいものだったが、特にこの別れのシーンは人間的な感情に動物的な行動が寄り添っている分、不思議な説得力にあふれていて、その後の躍動感に満ちたラストまでの布石となっている。
本作は、アーティスティックな表現の魅力もさることながら、犬の視点で見た人間社会を巧みに切り取った物語にも引き込まれる。犬にとっての幸せと、人間にとっての幸せは異なるものだが、重なる部分はやはり「愛」なのだろう。そんなシンプルな回答は、劇場を出た人々の世界をほんの少しだけ変えてくれるかもしれない。ぜひ大切な人と一緒に見て欲しい。
シャーク野崎
おすすめ度☆☆☆☆