新型コロナでどん底の飲食業界、生き延びの策は?逆境を乗り越えるため、成長を支えてきたトップダウン経営から、社員一人一人が主人公に大転換

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「コロナもちょっとええなあ。おかげで人づくりができた」

   「リボーン会議」のお好み焼きチェーン会社では、8月5日の会議に店舗77店中8店舗の閉鎖案が出た。これには、経営コンサルタントの黒石さんから「あなたたちミドルマネージャーがどれだけシミュレーションしてきたのか」と問い詰められた。

   実は、来年3月までに月間黒字を達成できなければ会社存続に直結する状況の中で、中井社長は全従業員に「200人の雇用は私の命にかえても守る」というメールを送っていた。これに本部長の源氏さんは「半年で黒字化は難しい。それなら従業員に気持ちよく辞めてもらおう」と反論した。議論は4時間かかり、社長からはデリバリー事業の提案があった。

   源氏さんは、デリバリー事業は保険や事故を考え、やめる方向で社長に直訴した。結局は源氏さんの意見が受け入れられ、デリバリーでなく、冷凍事業に力を入れることが決まった。社長を部下が押し返した形だ。「このコンセプトでやっていけば、どれだけ従業員がモチベーションを上げて働けるか」と源氏さんは確信し、中井社長は「勇気をもう一度わき起こしてアクセルを踏んでいきたいと思った」という。

   逆境を乗り越えるカギは経営者の冷静な決断あると、京都で革新的な手法で飲食店を経営する中村朱美さんはいう。1日100食限定、売り切れたら閉めるので、長時間労働が当たり前の業界で従業員の残業ゼロを実現した人だ。しかし、コロナ禍では売り上げが去年の20%に減り、4店中2店舗を閉鎖、従業員23人の半数を解雇した。

   どう計算しても4か月後には倒産する。悩んで少しでも助けられるものならと選んだという。肉をさばけるかの技術面を解雇の基準にした。「そこに葛藤と罪悪感があり、解雇には客観的正当性が必要」と考えた。

   中村朱美さんは、これからは「目標数値を下げて黒字を維持する」低空飛行の経営と、「飲食業でも昼に働く」ホワイト化が進むと感じる。「哀しさや怒り、誰かのせいにしたい感情を心に閉じ込めて、責任をとる気で進めば絶対に復活できる。きっと来年は笑顔で働ける」と信じているそうだ。

NHKクローズアップ現代+(2020年9月10日放送「逆境こそ飛躍のチャンス コロナ禍のリーダー社員たち))

文   あっちゃん
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