菅義偉の苦労人伝説「集団就職」「苦学生」はフェイクだ。菅のHPで「集団就職」がいつの間にか「家出同然で」と書き換えられた。満蒙開拓団で苦労した父・和三郎は息子に貶められて、たまったものではないだろう

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前川喜平元文科省事務次官は「菅政権では、安倍時代以上の官僚の官邸下僕化、私兵化が進む」を見ている

   清濁併せ飲むのが政治家ならば、菅は政治家としては王道を歩いているのかもしれない。だが、一歩間違えれば......。ここで2人の論客の菅批判を紹介しよう。週刊朝日で小沢一郎がこういっている。

   「森友・加計学園問題、桜を見る会などの疑惑について、菅さんは『ご批判は当たらない』と繰り返してきました。公文書の隠蔽や改ざんの実務的な指揮を執った人物です。それに、彼は大衆にアピールするタイプではないと思うんです。野党がしっかり結束できれば、十分に対抗できます」

   「菅さんが出馬表明した時点で、自民党はもう根回しが済んでいます。これまでの数々のスキャンダルを闇に葬り去り、派閥の力学だけで総裁を決めてしまう談合政治のできあがりです。過去6度の国政選挙で自民党は全勝していて、確かに野党には政権の受け皿になれなかった責任があります。でも、それ以上に安倍・菅政権に対する国民の批判や不満のほうがはるかに大きくなっています」

   菅への批判はあると思うが、今の野党のだらしなさでは......な。サンデー毎日では前川喜平元文科事務次官がこう指摘する。

   「私は安倍氏以上に危険だと思う。安倍政権の権力を支え、内政を仕切ってきたのは、実質彼だからだ。霞が関に対する締め付けはさらにきつくなり、安倍時代以上の官僚の官邸下僕化、私兵化は進むであろう」

   「文科省でも、菅氏の注文にちゃんと答えられなかったので飛ばされた幹部がいる、と聞く。会社でもワンマン社長がイエスマンばかり集めるとつぶれるという。霞ヶ関もそうなりかけている。同じ長期政権でも小泉政権では百家争鳴、言いたいことが言えたが、第2次安倍政権ではピタッと止まった。安倍氏というより菅氏の体質だろう。これまでも『安倍・菅』政権だったが、そこから『安倍』がなくなっただけだ。本質は変わらない。むしろ統制色は強まるのではないか」

急に支持率があがった安倍晋三首相
急に支持率があがった安倍晋三首相

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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