萬津総合病院で救急センターと薬剤部を掛け持ちする激務を続けていた薬剤部副部長・瀬野章吾(田中圭)が院内の廊下を歩いていて、部下の病院薬剤師・葵みどり(石原さとみ)の目の前で激しく吐血して昏倒した。瀬野は以前から時折、みぞおちのあたりに痛みを感じていたが、それがついに牙を剥いたのだ。
救急センターの医師・豊中瑠衣(臼田あさ美)の治療を受けた瀬野は、幸いすぐに意識を取り戻した。翌朝には『瀬野が倒れた』との噂が病院中に広がり、浮き足立つ薬剤部の面々だったが、何事もなかったかのように顔を出した瀬野は「逆流性食道炎だった」と言って仲間たちを安心させる。
だが、瀬野は薬剤部主任・刈谷奈緒子(桜井ユキ)の「静養した方がいい」との忠告を受け入れ、葵に救急センターの手伝いを頼む。さらに、薬剤部部長・販田聡子(真矢ミキ)に、豊中医師から肺に腫瘍の疑いがあると指摘されたため精密検査を受けると告げた。瀬野は自分の本当の病状に薄々勘づいている様子だ。
薬物依存の陽菜に娘が「会いたい」。立ち直るきっかけとなるか
そんなとき、救急センターにバツイチの元主婦・若月陽菜(徳永えり)が搬送されて来た。駆けつけた葵と瀬野は、陽菜の所持品から抗不安定薬の大量の殻を見つけ、オーバードーズ(薬の多量摂取)を疑う。葵が薬袋を頼りに調剤薬局に連絡して陽菜への処方歴を確認すると、やはり陽菜は複数の医療機関から同じ薬の処方箋を受け取り、大量に薬を入手していたことが判明した。
実は陽菜には、育児ノイローゼから抗不安薬依存に陥り、精神的にも肉体的にもボロボロになって離婚した過去があった。6歳になる一人娘は元夫・栗原謙介(高橋光臣)が育てている。
自暴自棄になっている陽菜は、病室に服薬指導のためやって来た葵と新人薬剤師・相原くるみ(西野七瀬)に反抗的な態度を見せ、葵に取り上げられた薬を奪って口に入れてしまう。それを止めようとするみどりに陽菜は薬を吐きつけ、不敵な笑みを浮かべる始末だ。
そんな陽菜に、薬物依存から立ち直るきっかけとなるかもしれない一筋の光が射す。父親と暮らす娘が、最近しきりと「ママに会いたい」と言っているのだ。仕事にかまけて育児を明菜一人に任せきりにしたことに責任を感じている謙介は、葵たちの協力のもと、母と娘を会わせようと決意するのだが......。
一方、瀬野は消化器内科の畑中聡(長谷川朝晴)から精密検査の結果を知らされる。診断は「非小細胞肺がんのステージ4」。瀬野は『命のタイムリミット』が迫る中、「俺の治療と薬のことはすべて、薬剤師の葵みどりに任せる」と宣言する。尊敬する瀬野が自分を信頼してくれていると知った喜びと、瀬野を失ってしまう悲しみの中で、葵はある覚悟を決めるのだった。(よる10時放送)
寒山