「特別警報レベル」と気象庁が警戒を呼び掛けてきた台風10号は、ぎりぎりのところで勢力を弱め、6日(2020年9月)九州の西側の海上を北上していった。九州7県の87万9521世帯に避難指示が出され、7日午前8時現在で34人のけが人が出たものの、最悪の事態は逃れられたようだ。
勢力が弱まったのはなぜなのか。気象予報士の天達武史は「1つは高気圧でブロックされ海上を北上したこと、もう1つは台風8・9号と同じようなコースだったので、海面水温が低くなっていたからです」と解説する。
「特別警報は最後の最後です。警報や土砂災害警戒情報レベルでも避難しないと危ない。今回は気象庁が早めに伝えたから、今こういう状況になんとか収まっているのだと思います」と天達は言う。
警戒すべきは土砂崩れ、「しばらくは崖などに近づかないで!」
気象庁は今回、早くから異例の警鐘を鳴らしてきた。4日午前には「特別警報級の勢力まで発達する恐れ」、5日には「これまで経験したことのないような暴風、高波、高潮となる恐れ」「6日に奄美地方を除く鹿児島県に特別警報の可能性」、6日午前には「特別警報の可能性は低くなっているが、引き続き最大級の警戒を」と連日会見で訴えてきた。
また、国交省は洪水被害を防ぐため、九州・四国など11県の73ダムで事前放流を行った。それが吉と出たのか今のところ河川の氾濫などの情報もない。天達は「下流域に関してはまだ濁流が上流・中流から流れてきている状況なので、避難情報などが解除された後も、特に下流部は川の近くに近づかないでください。また、土の中の水分量が増えているので、地盤が緩んでいます。少なくても1日は崖などに近づかないでください」と呼びかける。
天達(気象予報士)「進路があと20~30キロ東の方にずれていたら、最悪の事態があったかも知れない。台風シーズンには早めにみなさんに分かるように伝えるというのがこれからの気象庁の対応でしょう。今年は10月まで台風に注意した方がいいです」
伊藤利尋アナ「ぎりぎりのところで、たまたま勢力が弱まったという理解が正しいのかも知れません」