気象庁が異例の緊急会見を開き、最大限の警戒を呼びかけていた台風10号は、9月6日(2020年)夜から7日朝にかけて九州の西を進んだ。
長崎市野母崎(のもざき)で59.3mの最大瞬間風速を記録するなど強風が吹き荒れ、福岡県北九州市では高さ6mの工場煙突が根元から折れるなど各地で被害が相次いだ。広い範囲で停電も発生していて、九州電力によると午前7時現在、九州では47万5千戸が停電。中でも長崎県では19%にあたる約17万戸が停電している。強風にあおられて転倒するなど、九州各地を中心に30人以上のけが人も出ているが、そのほとんどは軽傷で済んでいる。
コロナ対策で定員を減らした避難所、熊本では正午で「満員」も
今回の台風10号でみられたのは、住民たちによる早めの対策と素早い避難だ。7月に豪雨に見舞われたばかりの熊本では、住宅の窓に板や養生テープを貼って補強したり、カーポートの屋根を外したりすることで強風にそなえる様子が見られた。
熊本県益城町では、総合運動公園に開設された避難所は午後1時の時点で長蛇の列ができていた。今年は新型コロナの影響で受け入れ人数を減らしたことで、正午時点ですでに満員になり、受付を終了した避難所も。
現地を取材した大竹真リポーターによると、今回は「コロナの影響で入れないかも」と考えた住民たちが早めに避難する姿が目立ったという。避難所に入れなかった人がホテルに宿泊することで、熊本市内のホテルは満室に。熊本市内から阿蘇の避難所に入ったという人もいた。
台風が直撃した長崎県五島市に住む中村矩子さんは、電話取材で「9号がひどかったので対策した。大工さんが修理や補強してくれた。年寄りはホテルや親戚に避難して、9号の時のような被害は出なかったという。
台風のピークは過ぎたが、これからも南風が吹き続けるため四国、紀伊半島、東海での豪雨に注意が必要だ。台風の風はおさまってくるが、今後は台風から離れたところの土砂災害や、竜巻などによる突風に注意が必要だ。
橋本五郎(読売新聞特別編集委員)「どうしても台風の通るところに気を付けようということになる。この後土砂災害も判明するかもしれない」
杉山愛(元プロテニス選手)「みなさん対策をしていてよかった。停電もあるので、熱中症にならないよう水分補給していただきたい」
松波健治(気象予報士)「暑さにも警戒が必要。九州は30度の予報が出ているが、雨が降った後の30度なので蒸し暑い」