『私の部下のハルトくん』は『私の家政夫ナギサさん』のスピンオフドラマ。本編が面白いとスピンオフもすごく楽しめるもの。主役だけでなく周りのキャラクターもしっかり描かれているからだろう。
製薬会社の横浜支店を舞台に、本編の主役である仕事熱心な女性、相原メイ(多部未華子)の部署に研修でやってきた新入社員の瀬川遥人(眞栄田郷敦)が主役だ。本編ではメイが指導役となって二人で仕事先へと出向くのだが、二人のやりとりは微笑ましく、ドラマのストーリー展開とは別の清涼剤のような心地よさを生み出していた。
入社3年目の天馬あかりとハルト君が惹かれあう
ハルトくんが醸し出すナチュラルな後輩力に惹かれ、『私の部下のハルトくん』を見るようになった人も多かったにちがいない。こちらでの「私」はメイではなくて、メイのグループにいる入社3年目の天馬あかり(若月佑美)。彼女とハルトくんとは、メイとのときよりももっと距離が近く、ラフで、ささいなことも語り合える関係。
そしてお互い気になり惹かれあっていくさまが綴られていく。最終回ではハルトくんが福岡支店に配属が決まり、送別会の二次会で無事両思いになって遠距離恋愛スタートというハッピーエンドになった。
本編でも言われていることだが、このドラマ、悪人がいない。職場がこんなにも和気あいあいとしてチームワークがいいのは、見ていて羨ましい。ハルトくんは新入社員なのだが、礼儀正しいし、言葉遣いもきちんとしている。何より素直!新入社員が何もできないヒヨッコなのは誰もがわかっていることで、だからこそ、こういう真面目で正直というのは大事なポイントなのだ。
社内の人間の力関係を推し量ってみたり、先輩を悪く言ったりしない。逆にいうとボーッとしているのだが(短い研修期間中にミスもしてしまう)、会社で働いた経験のある人なら、こんな新人なら可愛くていいなあと好感を持つにちがいない。
演じた眞栄田郷敦はまだ20歳。今回の役で確実に好感度はアップしたし、ファンの年齢層をぐっと広げたことだろう。これからの活躍が楽しみだ。(TBS:2020年9月2日(水)25時28分放送)
かたくりこ