売れる作家がふんぞり返り、中身のない本が幅を利かすパワハラ構図は出版社も同じだが...
この構図は、出版社も同様である。私が編集長時代、某作家が連載を始めた。すると、その作家に関わる社内の人間たちが集められ、上の人間が、件の作家のフェアをするといい出した。売りはその作家の新刊で、初版何十万部からスタートするといった。だが販売の人間は、その作家の読者は減っていて、それほど売れませんよ、在庫が残って困りますといった。
すると上が、「相手にはそれだけ部数を刷ったことにして印税を払えばいい。実際には5万程度刷ればいいじゃないか」と言い放ったのだ。かくして、売れるタレントや作家はふんぞり返り、売れないタレントや作家は1、2ヵ月しか暮らせないカネしかもらえない。そうやって、ベストセラーを出す、視聴率を稼ぐだけで、中身のない本や、ドラマや、ワイドショーの司会者だけが幅を利かし、世の中がバカになっていくのである。(文中敬称略)