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坂上忍のパワハラは、みのもんたと同じ構図だ。視聴率が取れる男をテレビ局上層部は甘やかし過ぎだ

   お次は坂上忍(53)という生意気な男の話。文春によると、昼の情報番組『バイキング』(フジテレビ系)のMCである坂上は、まるで昭和の大スターの如く、周囲にスタッフを立たせたまま、椅子にふんぞり返り、禁煙のはずのところでタバコをくゆらせたり、本番前から缶酎ハイをあおったりしているという。生放送中に「鼾」(いびき)という字を読めなかった榎並大二郎アナを、延々責め続けてそうだ。私もこの字は読めないな。

   スタッフたちが坂上のパワハラに脅え、疲弊しているので、幹部スタッフが、制作局の局長に、坂上のパワハラの酷さを訴えたそうだ。だが局の判断は、『直撃LIVE グッディ!』を終了させ、坂上の番組は打ち切られるどころか、1時間拡大されたというのである。

   それに対して坂上はどう答えるのか。「今の時代、相手がパワハラだと言ったらパワハラなんだと。僕はそれ暴論だと思っているんですけどね」と言いながら、90分も持論を語ったという。鼾という文字が読めなかった榎並には、「鼾くらい読めないとダメでしょう。若干頼りないですけど、フジを背負っていかないといけない人だし」と、期待しているようなしてないようないい方。「生放送は"戦争"ですから、現場で至らないところがあれば怒ることもあります」「スタッフさんに負担をかけたっていう思いはあるし、一方で何年も言い続けてきたことが改善されないことへの不満もある」。

   そして最後に、「言いたいことが言えなくなったら、いつだって辞める覚悟はできていますよ」といって、愛犬を連れて去っていったそうだ。坂上は頭のいい男である。彼のいい分だけを聞けば、なるほどと思う。だが、問題は別にある。みのもんたのときもそうだったが、視聴率が取れるタレントに対して、テレビ局の上層部は甘やかし過ぎである。

   視聴率さえ取っていれば、何をやってもいいと歯止めがかからなくなる。割を食うのは、地道に番組作りをしているスタッフや、外部の制作会社の人間たちである。フジには特にそれを感じる。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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