放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理憲章委員会は2日(2020年9月)、テレビ朝日の報道番組「スーパーJチャンネル」の業務用スーパー企画で、放送倫理違反があったとする意見を公表した。ディレクターの知人に「客」を装わせて取材した、いわゆる「ヤラセ」(サクラ)があったというわけだ。
ネット上では、テレビ朝日に対する批判と同時にBPOに対しても「何を今さらこんな些細なことを取り上げる? テレビ局の悪質な捏造体質にメスを入れて欲しい」という強い要望が起こっている。
「テレビ朝日はなぜ役員が謝罪会見を開かない!」
問題の企画があったのは、昨年(2019年)3月15日放送の「業務用スーパーの意外な利用法」。取材先のスーパーに客として登場した主要な男女5人全員が、制作したディレクターの知人で、撮影時に初めてディレクターと会ったかのようにふるまっていた。意見書は、「偶然に街で出会った人から話を聞き、そのごく平凡に見える人の思いがけないエピソードを視聴者に伝えることが趣旨であるのに、(知人を)偶然を装って『客』として登場させた点で正確でなく、公正さを欠いていた」と批判した。
テレビ朝日広報部は2日、「不適切な演出があり、深くお詫びします」という謝罪のコメントを発表。テレビ朝日の渡辺宜嗣アナウンサーも2日、同番組の中で経緯を説明しつつ、コメントを読み上げ、「視聴者の信頼を損ねました」と謝罪したのだった。
これに対してネット上ではこんな批判の声があふれた。
「こんな些細などうでもよいものを定期的に槍玉にあげて、『ちゃんとチェックしていますよ』的なBPOなんて要らない。他にもっとひどいヤラセや捏造、偏向報道があるだろう」
「サクラやヤラセが些細なこととは思わないが、BPOを構成する理事会理事にNHK副会長や民放連の専務理事と事務局長、TBS社長などテレビ局関係者が半分近くいることがおかしい。国民と総務省からチェックに乗り出されないためのアリバイ作りの身内のお手盛り機関だ。第三者委員会というならTV局関係者は除外すべきではないか」
「BPOはさすが身内というか、ゆるい件をいかにも『監視しています』というスタンスで出してきますね。もっと指摘すべき放送倫理に反する件がゴロゴロとある気がするのです。たとえば、フジテレビの『テラスハウス』に出演していたプロレスラーの木村花さんが自殺した事件。木村さんの母親が7月に人権侵害があったとしてBPOに審査を申し立てたが、まだ結論が出ていない。『テラスハウス』の件こそ、しっかり審査してほしい」
「もういい加減、テレビの企画で『アポ無し』はやめない?」
テレビ朝日についてもこんな批判が寄せられた。
「『スーパーJチャンネル』を見ていたが、渡辺アナはウチの社員じゃなくて契約ディレクターがやったと、『契約』の部分をすごく強調していて腹が立った。反省の色なしだね」
「普通の企業なら担当役員クラスが記者会見を開いて頭を下げるよね。謝罪はテレビ朝日の社長や役員がしなければならないはず。あんたらメディアは『社長の会見は?』と、いつも吠えているよね。アナウンサーは関係者ではあるが、言わば駒に過ぎない。結局、責任者は顔もださないの?」
「正直べつに業務スーパーのお客さんでヤラセがあっても私はどうでもいいです。ただテレビ朝日の謝罪コメントで『信頼されるように云々カンヌン』と言っていましたが、私はテレビを見ながら『昔も、これから先も、信頼なんかしないよ』と思いました」
最後にこんな声を。
「もういい加減、テレビの企画で『アポ無し』(アポ有り、でもいいけど)はやめない? 制作側の演出は視聴者からしたら全部ヤラセなんだよ」(テレビウォッチ編集部)