黒人差別に抗議の大坂なおみが「ブラジアン」と呼ばれて苦しんだ過去 小倉智昭「芸能人も勇気をもって抗議の発信をすべきだ」

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   テニス・全米オープンの前哨戦として注目されているウエスタン・アンド・サザンオープンで準決勝進出を決めていた大坂なおみ。27日(2020年8月)の準々決勝の試合後に、「アスリートである前に1人の黒人女性。テニスよりももっと大事な問題がある」とツイートし、準決勝を棄権すると表明した。米ウィスコンシン州で23日に起きた警官による黒人男性銃撃事件に抗議したものだ。米国では抗議デモが拡大して暴徒化、死者も出る騒ぎになっていた。

   これに賛同する形で全米テニス協会はすべての試合を男女共に1日延期すると発表した。すると、大坂は一転して準決勝に出場すると表明した。大坂は「コートに戻るほうが、抗議活動へもっと注目が集まることになると考えた」とコメントしている。

小倉智昭「日本では芸能人が言うと『誰が言わせた?』となる』

   大坂はハイチ人の父と日本人の母を持ち、3歳でニューヨークに移住し、15歳でプロテニス選手になった。大坂をよく知るテニスライターの内田暁氏は「大坂は自分の話題を読むのが怖いと、スマホを持たなかった。ネット上で『なおみはブラジアンなの?』と書かれることが多く、それを見るたびに『何なのよ!』と言っていました」と語る。「ブラジアン」とは、ブラック(黒人)でアジアン(アジア人)のことを示す言葉だ。

   大坂は2018年の全米オープンで優勝した時に、自身のアイデンティティーについて問われ、「私は私。両方の文化を持っている」と答え、翌年の全豪オープンで優勝した時にも「私の国籍や民族を聞くのではなく、プレーに注目してほしい」と訴えていた。

   小倉智昭キャスター「かつてはスポーツの場に政治を持ち込んではいけないと言われていたが、いまではスポーツ選手も発信するようになっている。これは素晴らしいこと」

   元サッカー日本代表の鈴木啓太「大坂選手の行動は非常に勇気のいることだと思う。Jリーグでもかつて、スタジアム内で人種差別に抗議を表明したことはある。アスリートが社会的な発言をするのはいいことだと思う」

   コラムニストの河崎環「大坂選手が日本語で『私はアスリートである前に黒人です』と発信した意味は大きい」

   新潮社出版部部長の中瀬ゆかり「大坂選手はアスリートでありセレブ。セレブとしての責任についても成長に目覚めたのだなと思う。優勝してインタビューで抗議を表明するという手段もあったが、今回は協会が1日延期したことでいい形になったと思う」

   小倉はさらに「こうした発言を芸能人が言うと、『誰が言わせた?』『背後に誰がいる?』ということになっているが、そうではない。芸能人だって発言してもいいと思う」と強く訴えた。

文   バルバス| 似顔絵 池田マコト
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