米ウィスコンシン州で黒人男性が白人警官に銃撃された事件に抗議して、テニスの大坂なおみ選手が26日(2020年8月)、ニューヨークで開催中のウエスタン・アンド・サザン・オープン大会準決勝を棄権すると表明した。これを受けて大会側も試合延期を決めたため、大坂はきょう28日未明(日本時間)出場に転じたが、根深い人種差別への反発が米スポーツ界に広がりつつある。
大坂は棄権表明のツイッターで「私はアスリートである前に一人の黒人女性だ。テニスより重要なことがあると感じる」「警官による黒人虐殺には吐き気がする」と、繰り返される差別事件を強く非難した。さらに「私がプレーしないことが根本的な変化につながるとは思わないが、白人が主流の競技で対話が始まれば正しい方向への第一歩となる」とも述べた。
大坂なおみ「私はアスリートである前に一人の黒人女性だ」
プロバスケットボールでウィスコンシン州に本拠を置くミルウォーキー・バックスは26日の試合をボイコットし「警察への責任追及を求める」との声明を出した。メジャーリーグのミルウォーキー・ブリュワーズも26日の試合をボイコットした。
上智大の前嶋和弘教授は「白人警官は、人種と犯罪率を比べるレイシャル・プロファイリングで、マイノリティーがより犯罪を起こす可能性があるという前提で動いている。『人種=犯罪率』が頭にあり、一言でいえば差別そのものだ」と解説する。
司会の加藤浩次「デモ隊が暴徒化し、警官が抑えようとする。悪い条件が続いている」
菊地幸夫(弁護士)「互いに疑心暗鬼の悪循環。黒人には事件の現場だけでなく、裁判や刑の執行にも差別の構図がついて回る。そこから大坂さんのボイコットがある」
大畑大介(ラグビー元日本代表)「大坂さんの行動は世界に対するメッセージだと思う」
犬山紙子(イラストエッセイスト)「大坂さんを支持します。沈黙すれば結果的に差別に加担するとの考えがあり、どんどん発信することは大切です」