新型コロナの治療法として「血しょう療法」が注目されている。きっかけはFDA(アメリカ食品医薬品局)がこの療法の緊急認可をしたことだ。回復した元陽性者の血液から抗体を多く含む血しょうを取り出し患者に投与する方法だ。アメリカではすでに7万人に実行済みだという。
トランプ大統領は「歴史的」「無数の命を救える」と胸を張るが、アメリカの一部の専門家は「効果や安全性の根拠となるものが少なすぎる」「アレルギー反応などの副作用を起こす可能性がある」と危惧している。また、感染拡大当初からこの療法を試してきた中国では「副作用に注意する」などのガイドラインが設けられている。
アメリカの「緊急認可」でもう1つ心配なのは、大統領選を前にしたトランプ大統領の思惑だ。トランプ氏は「FDA内の闇の国家に属する誰かが新型コロナウイルスのワクチンや治療法の試験を11月3日の大統領選挙後まで引き延ばそうとしている」などという陰謀説を繰り返し語っていて、緊急認可についても圧力をかけたのではないかと見られているのだ。
日本でも臨床試験の準備中だが、専門家「安全性の評価を」
とは言え、この治療法に各国が注目しているのは事実だ。カナダではトロント大などが臨床試験を行っており、年末には結果が出ると見られている。日本でも、国立国際医療研究センターが回復者から血しょうを採取し、冷凍する取り組みを始めている。
担当する忽那賢志医師は「まだ日本人患者に対する安全性は検討されていないので、国内ではまず安全性の評価から行われることになるだろう」とブログに記している。
司会の小倉智昭「日本はかなり慎重な国だからね。こういうことは時間をかけた方が良いのかも分かりません」
昭和大学医学部客員教授の二木芳人医師「今の段階では有効性も安全性も未知数です。アメリカやヨーロッパなどに比べて、日本は色々な治療を試しています。それらが全部ダメで、もういよいよ...という時には、最後の選択肢として用いることはあると思います。将来的に安全性が評価されれば位置づけも変わるでしょう」