WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長の「新型コロナのパンデミックを2年以内に終わらせるという希望を持っている」という発言に、司会の小倉智昭が「このオッサン、何を根拠に言っているんですか」とかみついた。
テドロス事務局長の「根拠」は約100年前に起こったスペイン風邪(インフルエンザのパンデミック)が約2年で収束したこと。現代では世界とのつながりがより密接なことはマイナス要素だが、テクノロジーの進歩がプラスになり、トータルすればスペイン風邪よりも早く収束するのではないかと言うのだ。
100年前のスペイン風邪と比較?参考にならないでしょ
この見解に対し、東京大学医科学研究所の四柳宏教授は「当時とは状況が違うので理解できない。テドロス事務局長の言うテクノロジーには位置情報のアプリを使った行動制限などが含まれていて、『上手に付き合っていこう』と言いたいのだと思います。しかし、世界がそれをどれくらい理解して実行してくれるかと言うと、全く別問題です」と話す。
昭和大学医学部客員教授の二木芳人医師も「インフルエンザと新型コロナのウイルスは性格が全く違うので参考にならない。1番大きな差が人口です。スペイン風邪の流行った時の世界の人口は、おそらく20億人もなかったが、今は77億人です。この地球上の人口密集というのは、人から人にうつっていくウイルスを制圧するには大きな障害になります」と否定的だ。
また、日本感染症学会の館田一博会長は21日(2020年8月)に行われたシンポジウムで「withコロナ時代の新しい生活様式は2020年で終わりません。2021年、2022年、2023年、2024年と続けなければいけない」と発言している。
二木医師「このウイルスがどのような形で私たちの社会の中で収まっていくのかが1番大事です。風邪のようになるのか、インフルエンザのようになるのか、それとも違った流行パターンを持つのか。その辺がまだ見えませんので『来年はこうなる』という予想を立てて行動をすることは難しいです」
安全で有効性の高いワクチンができるのもまだまだ先になりそうだ。「ワクチン開発に過度な期待は禁物だ」と専門家は口を揃える。