安倍は麻生を呼び「自分の身に何かあったときは麻生さんにお任せしたい」と伝えた。国民には、持病を抱えてもしがみつく安倍か、麻生かの「究極の選択」しかないのか?真っ暗闇じゃござんせんか!

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   安倍首相が第一次政権の時と同じように、持病の潰瘍(かいよう)性大腸炎悪化のために辞任する。

   火元はFLASH(8月18・25日号)だった。7月6日の首相動静に小池百合子都知事と面談を終えた11時14分から、16時34分に今井尚哉首相補佐官らが執務室に入るまでの約5時間強、空白の時間があった。この間に安倍首相が吐血していたのではないかという情報が永田町に流れていると報じたのである。

   それをきっかけに波紋はさらに広がった。甘利明税制調査会長が『日曜報道THEPRIME』(フジテレビ)に出演して、「ちょっと休んでもらいたい。責任感が強く、自分が休むことは罪だとの意識まで持っている」「数日でもいいから強制的に休ませなければならない」と発言した。

  • 安倍晋三首相(2020年5月24日撮影)
    安倍晋三首相(2020年5月24日撮影)
  • 安倍晋三首相(2020年5月24日撮影)

吐血情報がFLASH発というのがキーポイントだ。リークする側にとって大新聞やテレビは大騒ぎになる。観測気球にもってこいの媒体だ

   さらに、FLASHの「吐血報道」について会見で質問された菅義偉官房長官も、「私は連日お会いしているが、淡々と職務に専念をしている。まったく問題ないと思っている」と回答したが、FLASHの記事については否定も抗議するともいわなかった。

   そんな中、8月17日、突然、安倍首相は定期検査だと称して、主治医のいる慶応大学病院に入ったから騒ぎはさらに大きくなった。

   半年に1回は診てもらっているというが、前回は6月。わずか2ヵ月での検診が吐血情報にさらに信ぴょう性を与えたのである。

   私は、FLASH発というのがキーポイントだと思う。こうした一国のリーダーの体調に関する情報は、真偽にかかわらず、リークする側に何らかの思惑があることは間違いない。

   だが特定秘密保護法に匹敵するような重大情報を、大新聞やテレビに流せば、大騒ぎになり、安倍首相を含めた周辺が、徹底的に否定するとともに犯人探しに躍起になることは必至である。

   FLASHには失礼だが、ここが書いても、それだけでは大きな騒動にはならない。永田町ではよくやられることだが、アドバルーンをあげて、安倍陣営や世論の反応を見るには格好の媒体だったのではないか。そこにリークした側のしたたかな戦略が感じられるのだ。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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