インド洋の貴婦人などといわれる島国のモーリシャス共和国の海岸に、日本の長鋪汽船が保有し、商船三井が運航する貨物船が座礁して、大量の重油が流出したが、その原因は船員たちの驚くべき怠慢だった。
貨物船は中国からブラジルに向かう途中で、通常の航路を大きく外れてモーリシャス島に異常に接近し、突然、90度向きを変えて漂流して座礁した。付近はサンゴ礁が多く、他の船舶は近寄らない。貨物船はサンゴ礁に衝突して操船不能になったと見られている。なぜそんなところに迷い込んだのかか。その時、船長らは船内で酒盛りをしていて、運航を監視していなかったのだ。
乗組員たちは取り調べに対し、「誕生パーティーを開いていて、その様子をSNSで送ろうとしようとしたが、電波が届かないので、Wi-Fiに接続するために、島に近づいていった」と話しているという。若林有子キャスターは「インド人の船長ら2人がモーリシャス政府に逮捕されました」と伝えた。
日本の対応に現地では「遅い!当事者なのに消極的だ」
船長も船員もインド人やフィリピン人など全員が外国人だが、日本側の責任はどうなるのだろう。神戸大の岡村秀雄教授は、重油除去や環境回復には「10年、15年、20年かかるかもしれない」と指摘している。
日本政府は海上保安庁の職員ら6人をすでに現地に派遣し、環境省も7人の専門家を派遣する。ただ、フランスやインドは重油除去のための多くの人員やオイルフェンスなどの装置を事故直後から送り込んでおり、日本の対応に「遅い。当事者なのに消極的」と首を傾げられているという。
キャスターの立川志らく「向こうにしてみれば、日本の船なのに5~6人だけ? という印象なんだろうね」
望月優大(ウェブマガジン編集長)「当事者意識を持っているのかと思われているわけで、日本政府は形で示す必要がありますね」
損害賠償責任は長鋪汽船にあり、賠償額は約20億円と見積もられる。ただ、約1000億円までは船舶運送保険で支払われる。