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小池百合子が「レガシー」にしようとしている「感染予防徹底宣言ステッカー」、自分で店に出向いて確認すべきではないか

   やっているフリなら小池百合子都知事も負けてはいない。都知事選の翌日、「東京版のCDC(疾病対策予防センター)の創設を進める」と大見えを切った。

   だが文春によれば、担当局長に就任した人間が、オリ・パラ準備局次長と新型コロナウイルス対策を兼務していて、無理がたたって体調を崩してしまったこともあって、幹部たちは「何も決まっていない」と口をそろえているそうだ。

   さらに評判が悪いのは、小池が「レガシー」にしようとしている「感染予防徹底宣言ステッカー」である。

   ネットで自己申告して、プリントアウトすれば簡単に入手できるので、このステッカーを貼ってある店が本当に感染防止に力を入れているのか、客は判断のしようがない。

   実際、ステッカーのある店で感染者が出てしまっている。本気でやるなら、厳格な基準を決めて、それに合格するかどうかを都知事自らが、店に出向いて確認すべきではないか。

   もちろんそんなことはできないが、思い付きだけで、都民を走らせるのは止めてもらいたい。

   ところで一時「検査難民」とまでいわれたPCR検査が受けやすくなったと文春が報じている。

   だが、朝のワイドショーで、真っ赤な洋服を着た芸人が、「PCR検査に行ってきた。4万円もかかったから、若い芸人には負担だろうな」と得々として喋っていた。あれれ、PCR検査って無料じゃないのかと素朴な疑問。

   PCR検査を受けるには、医師が診察して、感染の疑いがあると判断すれば、東京都に約40カ所ある「PCR検査センター」や、検査機能を有する病院を紹介してもらえる。

   これより少しハードルが高いのが各保健所の「新型コロナ受診相談窓口」経由。公共機関はどうしても、医療崩壊を防ぎたいという意識が働き、検査数を抑えたいと考えてしまうからだそうだ。

   どちらも自己負担分はない。先ほどの4万円は「自費PCR検査」を行う民間クリニックの場合だそうだ。安心した。

   企業でも、感染者がいないか、出た時はどうするか、戦々兢々だそうだ。もし出た時には、濃厚接触者のリストアップや感染者の勤務場所を消毒することが必要だが、頭の痛いのは、対外的に発表するかどうかということだろう。

   金融機関などは、お客と接点の多い店舗の従業員や営業担当者の感染は発表するが、事務や管理部門は発表しないと、文春に答えている。

   感染した社員は働けないから無給になるが、社会保険の傷病手当が適応できるし、職務中に罹患した場合は、労災の休業補償と特別支給金を合わせて給与の約8割が支給されるという。

   これは派遣社員や非正規にも適応されるのだろうか。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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