結婚10年目の専業主婦・野口姿津花(壇れい)の平凡ながら幸せな人生は、夫である大手広告代理店「電王堂」係長・野口高史(原田泰造)のスキャンダラスな死で終わりを告げた。
大阪に出張すると言って家を出た高史が、箱根の古びた温泉宿で銀座の高級クラブ「紫紺」のママ・永井文奈(国仲涼子)と睡眠薬を飲んで心中を図り、死亡したのだ。文奈は意識不明で発見され、生き残った。
失意の底で葬儀に臨む姿津花の気持ちを逆なでするかのように、心中の片割れの文奈が現れ、ポンと100万円の香典を置いていった。さらに、高史の直属の上司の課長・佐伯信勝(手塚とおる)が「野口君が会社のカネ8000万円を横領し、文奈に貢いでいた」と追い打ちをかける。
原作は故・藤本義一の小説、1971年の映画「嫉妬」を大幅アレンジ
雨の夜、高史が不貞を働き、そのために横領に手を染めたとはどうしても信じられず、真相を確かめようと紫紺に向かった姿津花の前に、姿津花に横恋慕する佐伯が現れ、言い寄ってきた。だが、姿津花に拒絶された佐伯は、姿津花を突き倒して去って行った。
すると、雨に濡れた路上に倒れた姿津香に、誰かが「大丈夫?」と言って傘を差し掛けてくれた。見上げると、なんと文奈だった。「みすぼらしい格好でかわいそう」――文奈が言ったその一言が、姿津花の嫉妬と復讐心に火をつけた。
姿津花は真実を突き止めるため、文奈の香典の100万円を使ってメークや髪型を変え、高級なドレスを買い揃える。平凡な主婦から妖艶な『夜の蝶』に変身した姿津花は「志村実里」の偽名を使って紫紺に乗り込んだ。「私をここで雇っていただけませんか?」と迫る姿津花に、文奈は「面白いわね」と応じ、ホステスとして働くこととなった。
「真実をつかむためなら、私はどんなことでもしてみせる」と、夜の世界に身を投じた姿津花は、心中事件に疑問を抱く神奈川県警箱根警察署の刑事・城所良一(中村梅雀)の協力もあり、ついに衝撃の真実にたどり着く。そこには、電王堂の常務・岡村忠行(榎木孝明)らが絡む汚い陰謀が渦を巻いていたのだった。
原作は故・藤本義一の同名小説。1971年公開の映画「嫉妬」(監督・貞永方久)では、岩下志麻×浅丘ルリ子の2大女優のキス・シーンが話題を呼んだが、果たして今回のドラマでは......?(よる9時放送)
寒山