医学者の尾身茂氏が「経済と感染症対策の両立を図る」と語るのは笑止千万。専門家会議を牛耳る厚労省の医系技官を何とかできないか

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   新型コロナの感染拡大が止まらないなか、政府の専門家会議のありかたに疑問が出ている。GoToトラベル・キャンペーンで菅義偉官房長官は、「専門家の意見を聞きながら......」と言う。

   新型コロナ対策分科会の尾身茂会長が、7月22日(2020年)の開始を前に、「(感染拡大の懸念から)スタートを伸ばしたら?」と提言したが、西村康稔経済再生担当相は、これをスルーして予定通りスタート。尾身氏はまた、お盆を前に「帰省を控えて」とも呼びかけたが、西村氏はこれもスルーした。

専門家会議が「経済」と「安全」の二兎を追うのは無理

   専門家会議が機能しているのか、という疑問は以前から出ていた。元内閣官房参与で福島原発問題の処理にあたった田坂広志さん(多摩大学名誉教授)は「現在の有識者会議が形式的になってはいないか」と懸念する。

   福島原発での例から、「一つの組織が安全と経済の両方をやると、必ず経済が優先になる」という。地震対策をめぐる東京電力の社内論議もそうだったし、経産省の中に、原発推進の資源エネルギー庁と規制の原子力安全・保安院の2つの組織があって、ここでも経済や効率が優先になっていた。

   特に今回、医学者である尾身氏が、「経済と感染症対策の両立を図る段階だ」と発言したことに危機感を抱いたという。両立を判断するのは政治のはずだからだ。

   現在の組織は、閣僚会議の下に有識者会議があり、分科会はその下になる。分科会には、経済の専門家と感染症の専門家がいるが、ここがまとめた提言は、有識者会議から閣僚会議に行く。最後は政治が判断して政策を決める。しかし、「専門家の意見を聞く前に、すでに決定している疑いがある」という。

   感染症の専門家のコミュニティーをリードしているのが、厚生労働省の医系技官で、事実上彼らが政策を決めているというのだ。医系技官は、PCR検査を増やすことに一貫して反対し、コロナ禍での政府の方針を事実上決めてきた経緯がある。

   レギュラーコメンテーターの玉川徹「今の分科会のメンバーの半分はその系統の人。福島と違って、コロナは世界中で起こっているのだから、他国と比べることができる。検査数では世界で159番目と異様だ」

   高木美保(女優)「分科会は議事録も出してない」

   ここで田坂さんは、危機管理に3つの原則を提言した。(1)経済と安全を追求する組織を分ける。(2)経済と安全を両立させる判断基準を決める。(3)議論のプロセスを公開する。特に最後の意思決定の過程が国民に見えることが大事だという。

   司会の羽鳥慎一が、これについて、内閣官房に聞いた結果を示した。「学識経験者から有用な意見をいただいている」「有識者会議には、感染症・医学、経済学者も構成員となっている」というものだった。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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